出版社内容情報
富裕な家長であり,信仰あついヨブは,一朝にしてその財産を失い,幸福な家庭を破壊され,自らは悪性の病いに苦しまなければならなかった.彼はなぜそのような不幸に陥らなければならなかったか.悪が栄え,善が苦しむ現実をどう解釈すべきか.ヨーロッパ文学や哲学とも深いかかわりをもつ旧約聖書ヨブ記の今日的意味を追求する.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sk
5
旧約聖書にこのような生々しい哲学的な話が入っているとは知らなかった。悪はなぜ栄えるのか、という倫理学の根本問題が問われている。2018/07/24
Ise Tsuyoshi
3
限定復刊のおかげで入手。「人間は何故苦しまねばならぬか。しかも或る者は自分の責任ではないのにもかかわらず苦しまねばならぬ。一言にしていえば義人の苦難は何故か」(p.9)。ヨブ記は学生のころから何度も読んでいるが、未だに自分の中で答えは見つからない。「ヨブ記の理解にとって今一つ重要なことは解釈者の人生経験の切実さ、またヨブの問題に対する洞察の深さ、鋭さということであろう」「ヨブ記のみならず聖書にものを問うということは聖書から自分が問われていることだと感ずるに至る」(p.198)。まだまだ未熟ということか。2024/11/18
マキノ・ジロー
2
著者のヨブ記に対する考察を通して、宗教の様々な問題について考えさせられたり、気づかされたりした。 孤独でなければ神と向き合えない、というのは真理のように思える。結局は神と自分自身の問題だから、一人で神と向き合わなければ変わる事は勿論、問題解決も幸せもない。 一人で神と向き合うのは本当に厳しい事だけど、ヨブはそれをやってのけたのだからやはり偉大な人物である。 あと、ヨブの友人のように正論という刃物や劇薬を与えるような真似はしてはいけないな。でも、知らず知らずのうちにやってしまうだろうな。2020/04/03
nakmas
2
旧約聖書の中のヨブ記って、一体何なんだ??どれだけの影響を時間を超えて世の中に残しているのだろうと考えてしまった。 今回思いついたのは、この物語は「記」と名付けられつつも、実は長大な寓話なのではないか、ということ。 なので、記されている要素に大きな普遍性と汎用性があって、様々な素晴らしい人たちに着想を与えるのではないか。2015/02/06
シンドバッド
2
『旧約聖書を少し』と思っているので、読みましたが、akiさんのコメント前段に同感。『ヨブ記』に手を出そうという気持ちが萎縮してしまいました。『旧約聖書を少し』という気持ちになったは、『源流に少し遡り、少し知りたい』ということでしょうか…。 2013/05/23