出版社内容情報
私たちは,時間の中で生き,そして死ぬ.時間とは誰にとっても自明のもののようにみえる.しかし少し厳密に考えようとすると,皆目わからなくなってしまう.過去・現在・未来とはいったい何なのか.時間は人間の意識をはなれて客観的に存在するものか.時間について,さまざまな哲学上の議論を整理・解説し,鋭い考察を加える.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
53
西洋の時間の考え方の紹介本 アヴァ ヴィーリ コイレ ニュートン ハイデガー ライプニッツ クランツ グリュンバウム シルプ ライヘンバッハ クルー ゴットシャルク ブライアー マクタガート ラッセル ライヘンバッハ アイグラー アッパ ブラント ベルクソン ヘルト このうち、数人の理論しか読んだことがありません。 あとがきには、メルロポンティの言葉を引用している。 とにかく、難しい。岩波新書一覧 http://bit.ly/12LkZWe2012/07/13
みつ
21
葯40年ぶりの再読。とはいえ再読開始から読み終えるまで何年もかかっている。長らく放置していたのは、冒頭の魅力的な記述が章を追うごとに難解さを増し、結局『存在と時間』の入門書を読むことで、少々の免疫ができるまで期間が必要だったためか(初読時も途中からはほとんど読み飛ばした記憶)。序の部分では「『今』とは何か」「時間は本当に一方向に流れるものか」「時間の流れは均一なのか」などの問いが、過去の記憶が堆積するというベルクソンの時間論と未来における死の先駆として将来から「時熟」するというハイデガーの時間論の対比➡️2023/11/04
Ex libris 毒餃子
10
当時としては最先端の哲学者の時間理論の紹介。マグタガードようわからん。2023/09/22
フリウリ
3
●実在するのは、時間ではなく、われわれに受動的に時間の言葉を語らしめるさまざまな出来事だけなのである p185 ●継起し、流れるのは、時間そのものではなく、時間の言葉で捉えられた物の現出と、時間の言葉を語るわれわれだけだ p194 ●身体は、一個の客観としては、世界のただ中に位置を占め、出来事の変化や運動とともに「流れる」ものであるが、また一個の主観としては、まさに「立ち止まり」つつ世界に意味付与的に関わるといった両義的存在である p201 8/102022/06/30
MIRACLE
1
西欧哲学の時間論について、とくに、時間をめぐる論争に検討を加えた本(1976年刊行)。本書を読んで、後悔した。なぜなら、本書は、「筆者による」時間の哲学的考察ではなく、「西欧哲学者の」時間をめぐる考察をあつかっていたからだ。しかし、時間は、西欧哲学の議論に関係なく、すべての人間に関わる話題だ。したがって、西欧哲学の時間論をいくら追っても(A系列・B系列など)、未解決な問題が残るは明らかだ。事実、筆者の結論は、「時間とは、実在の時としては、非実在である」というものだ。本書の読書は、時間の無駄であった。2015/02/19