出版社内容情報
ヒューマニズムは,すでに光を失った過去の思想にすぎないのだろうか.破綻したのは個人主義的ヒューマニズムにすぎず,人間疎外が極点に達している現代こそ,人間性回復の転機をふくむものであると著者は主張する.ヒューマニズム思想を歴史的にたどりつつ,現代社会におけるヒューマニズムの意義とあるべき姿を説く.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
6
かなりいい本ではあるのだけど、さすがに古いかも。ヒューマニズム思想史と関連する現代の状況を見渡してるものの、さすがに結論が共産主義的な人類ヒューマニズムというのは今さら感がたっぷり。そうした限界を踏まえれば、雄弁な筆致に上手い解説で今でももちろん読める。人文主義でもない、個人の実存主義でもない第三の人類ヒューマニズムを打ち立てようという志はいいけど、むしろ今の読者には前二者の方が受けが良さそうだ。貧しさと戦争が人間の問題のだいたい根っこなのは確かにそんな気もするけどね2012/06/21
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
1
昔読んだ本の再読。古いということもあるが、前に読んだ時と比べて乗れなかった。著者の思想もあるのだろうけど、分析も含め全体に甘くて、現代の目から見ると余り意義を感じられない。ただ、戦後間もない頃にヒューマニズムがどう捉えられていたか分かって多少参考にはなった。「ヒューマニズムとは何か」の定義に関する引用くらいには使えるかな。2011/01/14
Arick
0
自分の所属する組織の祖の考え方を知るために読んだ。 が、自分には難解すぎるところが多く、本当に進まなかった。 抑圧された民族の独立に関する戦争等を相対的に肯定する考えは、とてもドラスティックに感じた。 この本が書かれた世相を鑑みる必要はあると感じる。 個人主義的ヒューマニズムを越えていくものを見出そうとしたところに、今の時分の組織があることを認識できたことはよかった。ともすると、個人主義的な場になりがちだから。2018/01/20