出版社内容情報
日本の中で沖縄はどのように位置づけられてきたのだろうか.原始から近代そして戦後までの歴史を振り返りつつ,日本人のなかの沖縄についての意識を検証し,その差別の構造と理解の欠如の根深さを浮き彫りにする.さらに言語,民俗,信仰,産業などを詳しく紹介して多様な角度から豊かな沖縄の文化を描いた画期的な名著.
内容説明
日本の中で沖縄はどのように位置づけられてきたのだろうか。原始から近代そして戦後までの歴史を振り返りつつ、日本人のなかの沖縄についての意識を検証し、その差別の構造と理解の欠如の根深さを浮き彫りにする。さらに言語、民俗、信仰、産業などを詳しく紹介して多様な角度から豊かな沖縄の文化を描いた画期的な名著。
目次
1 日本のなかの沖縄
2 誤解された「琉球人」
3 沖縄史のあけぼの
4 薩藩治下の琉球王国
5 百姓一揆のない国
6 日本の近代化と沖縄
7 沖縄文化の地方色
8 歌と踊りの島
9 戦後の沖縄
著者等紹介
比嘉春潮[ヒガシュンチョウ]
1883年‐1977年。1906年沖縄師範学校卒業。専攻、沖縄史・沖縄文化
霜多正次[シモタセイジ]
1913年‐2003年。1939年東京大学英文科卒業
新里恵二[シンザトケイジ]
1928年‐2013年。1949年第五高等学校(旧制)中退。専攻、沖縄史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あきあかね
17
西武門節や安里屋ユンタ、谷茶前節、唐船ドーイなど穏やかな旋律のものから軽快でリズミカルなものまで、沖縄民謡はどれも魅力的で、「歌と踊りの島」という呼び名にも頷ける。 他方で、本書では沖縄固有の文化や暮らしに対する蔑視や抑圧の歴史も語られる。戦前に沖縄から東京に出てきた男が、郷愁に駆られて沖縄民謡のレコードを手に入れたが、雨戸を閉め切って蓄音機に毛布をかぶせて、その中に頭を突っ込んで聴いていたという哀しいエピソードは隔世の感がある。⇒2023/03/16
二人娘の父
8
岩波新書クラッシックス限定復刊。1963年に世に問うた「日本にとって沖縄とは」の画期的著作だろう。冒頭の10数ページだけでも読んでみてほしい。沖縄への無知、無関心、偏見...これらの源流は、今から100年以上前から変わらずにあることが分かる。琉球という呼称も、実は中国(隋)から呼ばれ始めたとの指摘も重要。沖縄(漢字は後の当て字)というアイデンティティを、私たちヤマト・内地の人間がいかに理解するのか。そのことをすでに60年以上前から警告されていたことに驚きと、敬意を感じている。沖縄を知るための必読書。2023/06/21
takeapple
8
上の子の高校受験があるから最後の家族旅行に沖縄に行きたいと思った。基地問題や本土との格差なんかも、今はわからなくても将来考えられる人になって欲しいと思った。ずっと積ん読になっていたのを予習のために読んだ。琉球王国としての独自の歴史を尊重したい。2010/12/06
Hiro
4
沖縄が日本に復帰する前の1963年初版の本書が今日でも十分に読めるものであることに同じ日本人として何かやりきれないものを感じた。私は本書を読むまで、例えば明治前の沖縄がどんなふうであったか、薩摩や明、清との交流、使われていた文字、仏教の伝来などほとんど何も知らずにいた。琉球処分のことは勿論。私の知る沖縄は太平洋戦争以後のことに過ぎなかった。しかし自分の無知を悟るには大変いい本だがやはりそろそろ稿を一新して、琉球処分の評価を含め沖縄の紛れもない実情を伝えるものが改めて書かれるべきではないかと思う。2024/07/31
Kazunari Hashimoto
0
沖縄は日本とは少し違うのではないか? 沖縄という地域について思いを巡らせる時、こんな失礼な疑問を感じてしまう本土の人間は少なくないのではないか。恥ずかしながら、僕もその一人だ。本書は、沖縄学の研究家で社会運動家でもあった比嘉春潮氏らが、アメリカ占領下の沖縄の祖国復帰運動に無関心な日本人に、沖縄への理解と注意を喚起するために書かれた、沖縄の歴史と文化への案内である。有史以来「日本の辺境」として幾多の苦しみと悲劇の舞台となった沖縄。本来、沖縄が日本に於いて占めるべき位置は何処か?という問の現代的意味は大きい。2012/05/23