出版社内容情報
「君の行為の格律が君の意志を通じて普遍的な自然法則になるかのように、行為せよ。」カント哲学の導入にして近代倫理の基本書。人間の道徳性や善悪、正義と意志、義務と自由、人格と尊厳、共同体と規則などを考える上で必須の手引きである。訳語を精査し、初学者の読解から学術引用までを考慮した新訳。
内容説明
「君の行為の格律が君の意志を通じて普遍的な自然法則になるかのように、行為せよ。」カント哲学の導入にして近代倫理の基本書。人間の道徳性や善悪、正義と意志、義務と自由、人格と尊厳、共同体と規則などを考える上で必須の手引きである。訳語を精査し、初学者の読解から学術引用までを考慮した新訳。
目次
第1章 道徳についての普通の理性認識から哲学的な理性認識への移り行き
第2章 通俗的な道徳哲学から道徳形而上学への移り行き(道徳性の最上位の原理としての意思の自律;道徳性の真正でないあらゆる原理の源泉としての意志の他律;他律を根本概念に採用することで可能になる道徳性のあらゆる諸原理の区分)
第3章 道徳形而上学から純粋実践理性批判への移り行き(自由の概念は意志の自律を解明するための鍵である;自由はあらゆる理性的存在者の意志の特性として前提されなければならない;道徳性の諸理念に付帯している関心について;定言命法はどのようにして可能なのか?;あらゆる実践哲学の究極の限界について)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
19
十八歳位頃から、折々に読んできた書。それから六十年近くを経たが、ようやくカントが考えたことを自分の言葉として、僅かだが語ることが可能との確信が生まれ始めた。 多くの人がそれを尊厳の念で迎えることが可能であるものを道徳という。もし道徳として呈示されたものにあったとしても、それに対して尊厳を抱くことができないのならば、それは偽りの道徳である。 こうしてみると、道徳として称して呈示されたものを改めて観ると、その多くが偽りであること多い。 それは正義をもって為す行為には偽りがない、そう言えることと同義なのである。2024/04/30
どんぐり
0
「何が善かは人それぞれだよね」という相対主義的な論調が主流な今日において、「端的に善」なるものを徹底的に追い求める本書は一周回って新鮮に映る。個人的には『自由な意志と道徳の諸法則の下にある意志とは、同一のものなのである』という一文にハッとした。私が普段求めている自由は、果たして本当に自由と呼べるものなのだろうか?2024/06/26