出版社内容情報
ゲルツェン(1812-1870)は近代ロシア史上、最初の政治的亡命者であった。彼の言う革命思想とは、人間の尊厳と言論の自由を守る思想である。発祥から一九世紀半ばまでのロシアの歩みとともに革命思想の展開を描きながら、ロシアの宿痾たる農奴制と専制の非人間性を告発する。現代をも撃つ予見的洞察に満ちている。
内容説明
ゲルツェン(一八一二‐一八七〇)は近代ロシア史上、最初の政治的亡命者であった。彼の言う革命思想とは、人間の尊厳と言論の自由を守る思想である。その展開を描きながら、ロシアの宿痾たる農奴制と専制の非人間性を厳しく告発する本書は、予見的洞察に満ちている。
目次
序章
第1章 ロシアとヨーロッパ
第2章 ピョートル一世以前のロシア
第3章 ピョートル一世
第4章 一八一二年‐一八二五年
第5章 一八二五年十二月十四日以後の文学と社会思想
第6章 モスクワの汎スラヴ主義とロシアのヨーロッパ主義
エピローグ
付論 ロシアの農村共同体について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
13
カバー図版はカール・コルマン「デカブリストの反乱」。浅学なもので1917年の革命の話かと思っていたら、1851-52にフランス語で刊行されたものだった。表紙見返しの梗概によると「近代ロシア史上、最初の政治的亡命者」としてパリに滞在していた。フランスの2月革命の後の6月事件の目撃者でもある。個人的に19世紀ロシア文学黄金時代の思想史的背景を知る手立てとなった。帯によると、来月からゲルツェンの自伝的回想記「過去と思索」(全7冊)刊行スタート、らしい。岩波書店ノリノリだなあと思う。私は読むのか、読まないのか。2024/04/14
Happy Like a Honeybee
2
唯物論に染まっていない純粋な印象。2025/05/01
けっと
1
本書は1850年時点までのロシア史・ロシア思想史をやや文学的に総括し、そして帝政や汎スラブ主義(スラブ民族や正教に重きを置く価値観)を鋭く批判している本です。思想史の展開はあたかもマニアックな世界史の先生が熱っぽく語るような独特の雰囲気があり、本書の魅力のひとつだと思います。また、訳者解説ではゲルツェンの問題意識やロシア思想史がかなり明瞭に論じており、こちらを先に読んでおくべきだったと思いました。2024/05/18