出版社内容情報
膨大な演説・談話によって多種多様な論を展開し、社会を啓発しつづけた大隈重信が語る、人生、学問、教育、社会、そして理想。
内容説明
演説・談話の名手大隈重信(1838‐1922)は、青年に何を期待し、新しい時代を生きる女性にいかなるメッセージを送ったのか?日露戦争後から第一次世界大戦前後の歴史の転換期に、どのような政治的スタンスで向き合ったのか?学問・教育に対するビジョンは?―大隈自身が語る、人生、学問、教育、社会、そして理想。
目次
1 人生を語る・学問を語る(青年に寄せて―生き方の指針;女性へのメッセージ;「学問の独立」―早稲田の学風;教育家たちの思い出)
2 政治を語る・世界を語る(政治はいかにあるべきか;世界のなかで生きる―外交を論ず;東西文明の調和―文明を論ず;理想を掲げて―世界平和のために)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
46
東京専門学校の創立を実質的に推進したのは小野梓(15頁)。七たび転んでも八たび目に起きればよい(32頁~)。だけど、15回ではもう16回目はムリでしょうね。勿論暇さえあれば我輩は書物を読む。社会と遠からぬ様に読書が必要である(46頁)。激しく同意(Facebook友達的)。政治家、実業家、教育家問わず、新智識を収容するに読書が必要(47頁)。一般の教育はすべての人間、普通の人間を造る。人間以上の人間を造るのは別(72頁)。優れた市民を形成することが今もなお、重要なひとづくり課題である。2016/08/25
シンドバッド
9
大隈重信を知るには、お奨めの良書。 福沢諭吉との関係については、私にとっては、初めて知る内容であり、特に興味深かった。2016/05/06
spanasu
3
大隈重信は元老でもなければ政党政治家でもない。政党内閣の構想は持つが、第二次内閣のように元老との接近も権力を求め行う。演説には矛盾やつまらない結論が目立つ。しかし、例えば歴史から大きなビジョンを語る演説を通じて、(おそらく自由民権運動の頃より)政治家が教え導かなくてはならない国民と大隈は結びつく。また、21カ条要求第5項は中国保全論に近い。大隈の後継者は加藤高明となる。加藤高明はイギリス政党政治をモデル視するまさしく政党政治家であり、比較すると大隈が過渡期の政治家であったことがわかる。2019/10/31
西夏
2
大学卒業時に大学から贈与?された本。主に大隈重信の演説を纏めたもの。現代に通づる、増税・夫婦共働き・選挙の大切さが記載されており、日本の問題は変わっていないことを思い知らさせれる。一方で、日中の関係は同種同文という考え方や、男女は同じ比率で生まれ来るので、一夫一婦制を守るべきなど余り考えたことのない発想もあった。卒業時よりは、入学時に配布した方が良いのではと思った卒業4年目の秋だった。 2019/09/23
それん君
1
「欧米列強から中国・朝鮮を日本が守ってやるんだ」みたいなことを言ってるけど、大隈さんの時に中国に21カ条の要求突きつけたの考えると、ちょっとこの人の言葉にモヤモヤする。でも中国文化に対する敬愛は感じられた。当時の日本人は中国の文化を尊敬していたし、よく学んだ。今は「漢字は中国由来だから無くそう」なんて言う保守派まで出てきたが…。2020/07/03