出版社内容情報
中世哲学への豊かな学識と深い批判精神に基づいて、使徒伝来のキリスト教信仰を現代に甦らせた名著(注解=山本芳久・解説=稲垣良典)。
内容説明
岩下壮一(1889‐1940)は、近代日本のカトリックの霊的指導者にして、我が国での中世哲学研究の開拓者である。叡智の学的探究と使徒的なる社会活動に生涯を賭けた。信仰を知解するための思索と霊性の実りである神学との深い統合が、永遠の真理への道を指し示す代表作。随想6篇を併載。
目次
信仰の遺産(キリストを見直す;キリストを信じうるか;DIDACHEに現れたる教会制度;初代教会の教役者―Didach`e十一章‐十六章 ほか)
小篇(ルターと近代思潮;四旬節の黙想―十字架へ向って;キリストに倣いて;G・K・C管見 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
9
「カトリックの信仰」に次いで二冊目。ルター派との比較でカトリックの神学を説いている。この本で初めてカトリックの信仰の神髄が理解できたと思う。難しいけどとても良い本だった。何度でも読んでカトリックへの信仰の道を確かめたい本。2017/09/27
きゃんたか
4
「神がこの地上を歩み給うた時、神がわれわれ人間に見せるにはあまりに大きすぎるものが、たしかに何かしら一つあったのである。そして私は時々一人考えるのだーーそれは神の笑いではなかったのかと」(GKC管見)…「私はその晩、プラトンもアリストテレスもカントもヘーゲルも皆、ストーブの中へ叩き込んで焼いてしまいたかった。考えてみるがいい、原罪なくして癩病が説明できるか。また霊の救ばかりでなく、肉体の復活なくして、この現実が解決できるのか。」(ある患者の死)…小篇が素晴らしい。カトリックの正統性を強調する前篇は…。2015/06/24
onisjim
1
たぶん岩下に触れるのは学生のときに半澤孝麿の本をもちいた演習に出て以来だと思う。ひさしぶりすぎるうえに、なかなかぶ厚いし、内容も重たくて読み終えるのに苦労してしまった。しかし日本のキリスト教・カトリック思想史における重要人物の著作がこうして文庫で手に入るのは良いことだと思う。ブラウン神父のチェスタトンの名が出たのには意外な気がしたが、こういう(いまさらなものの)発見はおもしろい。2015/04/06