岩波文庫
ある老学徒の手記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 507p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003811146
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0136

出版社内容情報

鳥居龍蔵(1870─1953)は,学校にはなじめず小学校を2年で退学する.しかし,独学自習し,考古学・人類学を本格的に学ぶことを志して上京.帝国大学人類学教室標本整理係となり,そこからアジア各地の精力的な調査が始まる.困難な時代に国際的な業績をあげた稀有な民間学者の自伝.(解説=田中克彦)

内容説明

鳥居龍蔵(1870‐1953)は小学校を中退し、独学自修した。考古学・人類学を学ぶために上京。帝国大学理科大学人類学教室標本整理係となって研究を始める。飽くなき探究心で国際的な業績をあげた稀有な民間学者の自伝。

目次

私の幼少時代と阿波の徳島
東京遊学時代
遼東半島の調査
台湾調査時代
阿波の木頭
私の結婚と当時の勉強の仕方
北千島調査
太平洋岸より日本海岸へ横断調査
西南支那の調査
私と沖縄諸島
満洲の調査
妻と嬰児を伴い蒙古旅行
第三回満洲行と漢代遺跡
第一回朝鮮の調査
南樺太島の調査
第二~六回朝鮮の調査
第一回東部シベリア調査旅行
北樺太(サハレン州)の調査
第二回アムール河(黒龍江)とキジ湖
私の勲章と学位
私の大学退職
昭和元年山東省調査
金の上京と渤海故址
第三回シベリア・満洲調査
第三回蒙古旅行・遼代陵墓の調査
昭和七年満鮮の調査
医巫閭山と画像石墓
第四回蒙古調査・遼の三稜と中京城
結語

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

isao_key

11
読了後、久々に猛烈に感動した。浅学にして、著者をこの本によって初めて知った。小学校を2年で中退し、その後自宅で小中学校の課程を独学で修め、東京人類学会に入会。遺跡発掘調査を行う。この会で知遇を得た帝国理科大学人類学教室坪井教授に師事し、同学標本整理係として勤務しながら調査研究を続ける。その後国内、台湾、満州、蒙古、朝鮮、シベリア、樺太、中国など東アジア各地を訪れ人類学、考古学上の発見、発展に多大な業績を残した。巻末に言語学者の田中克彦先生が著者の生涯を、尊崇の念を持って要を得たすばらしい解説を書いている。2015/07/27

壱萬弐仟縁

10
勉強ぎらいでないが、学校きらい(解説476頁)。独学で学習し、学校の意義がシビアに問われる内容。丸善の英文生理学の本を求めに行くが、2階に行かず、店頭で急いで買って帰ったとのこと(88頁)。各地に調査へ出かけていることもわかる。氏の実践からすると、学校よりもフィールドで学ぶことがあるとは、現代においても座学よりも現場が示唆することが多いということになりはしないか。満州、蒙古、台湾、沖縄、遼東半島、朝鮮など多数訪れている。時にブログ風な紀行記のような感じの叙述もあり、生き様が反映した調査には感服である。2013/04/19

Happy Like a Honeybee

8
朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。明治から昭和初期まで活躍した、鳥居龍蔵の自伝。遼東半島、千島列島、蒙古、シベリアなど極東の考古学人類学に貢献する。満州国やノモンハン事件の時期と重なるが、政治的な調査ではなく鳥居氏の着眼点が現場で必要とされた。学校を中退し在野の人間だからこそ柔軟な思考を生んだのか?官学に対し、規格外の学問に従事する民間学が日本の底力と言えるかもしれない。2016/03/10

シンドバッド

6
13年1月の発行の文庫本、読書メーターの登録が未だ一桁! もっと読まれているものと思いましたが…。学生・研究者には是非一読してもらいたい本です。2013/03/07

塩崎ツトム

5
現代においてその名前を聞くことがない人類学者・鳥居龍蔵の自伝。彼が盛んに調査したのは台湾や朝鮮半島、樺太、満蒙といった、膨張する「帝国ニッポン」の境界線であり、戦後に日本式帝国主義が否定されるに合わせてその名前も忘れられていった。妻や子供とともに考古学調査に飛び交うその姿は現代風にいえば「おいしい」のだけど。なお、ブラジルにおける若き日のレヴィ=ストロースとの邂逅については、残念ながら書かれていなかった。2019/10/14

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