出版社内容情報
二〇世紀イタリアを代表するノーベル賞詩人クァジーモド(1901-68)の全詩集。反ファシズム闘争に身を投じ、人間を蹂躙する現実への激しい怒りを表現し、戦後は冷戦や核の恐怖を見据えた強靭な社会詩を書き続けた詩人のすべて。
内容説明
1959年にノーベル文学賞を受賞した、20世紀イタリアを代表する詩人サルヴァトーレ・クァジーモド(1901‐68)は、ファシズムの暴虐に抗して、人間を蹂躙する現実への激しい怒りを表現し、戦後は冷戦や核の恐怖を見据えた強靱な社会詩を書き続けた。社会の悲惨、歴史の苦悩に対峙する詩篇の圧倒的な強さと深さと重みが胸をうつ。
目次
第一詩集『そしてすぐに日が暮れる』―一九二〇‐四二年
第二詩集『来る日も来る日も』―一九四二‐四五年
第三詩集『この世は夢でない』―一九四六‐四八年
第四詩集『萌えゆく緑と散りゆく緑』―一九四九‐五五年
第五詩集『比類なき土地』―一九五五‐五八年
第六詩集『与えることと持つこと』―一九五九‐六五年
「碑文二篇」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプーン
33
戦争の恐怖と、人間たちの行為を神話に重ね合わせたクァジーモドの詩集。人間は変わらない。賢さも愚かさも。ただ同じところをぐるぐる回る。すべての都市は死に、すべての都市は生き還る。詩人が見つめた20世紀イタリアの様に。2018/01/13
lily
22
悪の臭いが立ち込める灰色の靄の世界。気怠い生と何処にでも転がる死の揺らぎの中で。光の三原色で白を、救心の如く。命の言葉燃やして。20世紀イタリア、ノーベル賞詩人の血肉を賭けた軌跡。2019/06/24
ロビン
21
モンターレ、ウンガレッティとともに20世紀イタリアを代表する詩人で、1959年にノーベル文学賞を受賞したサルヴァトーレ・クァジーモドの全詩集。マラルメやヴァレリーのフランス象徴主義に影響を受けた純粋詩「錬金術主義」の代表的詩人でもあるが、二次大戦時は沈黙する文化人たちの中にあって民衆に、名もなきパルチザンの戦士たちに寄り添い、ファシズムに抵抗する詩を作った。一時は共産党にも入党したが、その詩は社会詩であれ諷刺詩であれあくまでも「詩」としての芸術性にこだわっておりある種の難解さをもっているように思う。2021/01/09
メルコ
9
寝るまえに一編ずつ読み進んでいった。1959年ノーベル文学賞を受賞したイタリアを代表する詩人。ファシズムに巻き込まれ、戦後は社会を反映した詩を発表していた。読んでいて感じられるのは、静かに胸に訴えかける言葉の穏やかさと力強さである。わかいときに書かれた詩は、いまもみずみずしさを感じさせる。2023/05/06
シンドバッド
5
第一詩集 そしてすぐに日が暮れる 何度も読み返し 味わう 訳者 河島英昭 に感謝!2017/12/10