出版社内容情報
「浄らかなその爪は 縞瑪瑙を 高々と 掲げ……」。象徴派の詩人として詩史に燦然と輝くステファヌ・マラルメ(1842-98)は、〈絶対の書物〉を求め、生涯ただ一冊の詩集を編み続けた。未完に終わったその自選詩集と、恋人に捧げた軽やかな詩群、「エロディアード」「半獣神の午後」の異本を徹底的に読み込み、審らかに注解する。[新訳]
内容説明
“絶対の書物”を書くことの不可能性を逆手に取り、定型韻文・散文詩・批評詩と、超絶的な言語態を極限まで操り“不可能性の怪獣”に立ち向かった詩人マラルメ。その究極の“劇場”の一つ、ドマン版『詩集』により、詩の言語を読み解き、耳を澄まし、思考する。新訳。
目次
1 『ステファヌ・マラルメ詩集』(ドマン版)(祝盃;不遇の魔;あらわれ ほか)
2 拾遺詩篇((黒人女が一人、悪霊に衝き動かされ…)
(お目覚めの時にはその跡もなし…)
(夫人よ…) ほか)
3 半獣神変容 エロディアード詩群(半獣神、古代英雄詩風幕間劇―半獣神独白;半獣神即興;エロディアード―古序曲 ほか)
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
22
フランス象徴主義詩の巨星ステファヌ・マラルメ(1842-1898)の詩集で、膨大な量の註解が付いているが、晩年の大作「骰子一擲」は未収録。ポーやボードレールに多大な影響を受け、ヴェルレーヌを友と呼んだマラルメだが生涯の大半を英語教師として過ごし、所謂破滅型の「呪われた詩人たち」とは一線を画す。「事物を描くのではなく、事物の作り出す効果・作用を描くこと」と詩人がいう詩句は非常に練り上げられていることは伝わってくるが難解で、イメージとしてはモローやルドンの絵画が浮かんでくるが、その詩的宇宙の深奥までは掴めず。2020/12/03
メルキド出版
14
「海のそよ風」「半獣神の午後」2018/09/03
Z
12
詩神。と形容したくなるほど衝撃的な出会い。こんな詩あるんだと驚いた経験は何度かあるが、もうだいたい詩ってこんなもんかと固まってきたなかで、もう一度驚いたので嬉しいサプライズだった。質的に今まで出会った詩と全く異なる。言語の選択や並べ方が読んだことのないタイプ。形容難しいのでぜひ読んでいただく他ないが、そこでこの言葉もってくるかと名詞レベルでなく、そこで形容詞使うの?!等品詞レベルで語の順番が天才的。アレクサンドリア韻等、原文の韻をふんだ技法を楽しめないのは残念だかフランス語勉強しようかと思うほど衝撃。2016/12/19
月
11
マラルメの詩篇は大学(文学部)での時間をかけた題材にはいいだろうが、日常の読書にはやはり難解で頭の中での組み立て(イメージ)が難しい。解説(注釈)と並行して読み進めないと詩の内容が全く辿れない・・が、それでは何のための詩読なのか分からないので、初めは注釈に頼らず読み進め、二度目に注釈と並行して読んでみる。以前から馴染みあるソネは「夏の悲しみ」が一篇。今回は、エロディアード・舞台と半獣神の午後に注目して読み込む。今年一番時間を使った読書だと思うが・・只今三度目に挑戦中。 2015/12/01
メルキド出版
10
「エロディアード」2018/10/01