出版社内容情報
「僕は旅に出るよ、リザヴェータ。新鮮な空気が必要なんだ」 芸術への愛と市民的生活との間で葛藤する繊細な青年トーニオ。自己を求めて遷ろい、かつて憧れた二人の幻影を見た彼は、何を悟るのか。トーマス・マン(1875-1955)の自画像にして数多の作家が愛読した名作が、原文のニュアンスに忠実、かつ読みやすい訳で蘇る。
内容説明
「僕は旅に出るよ、リザヴェータ。新鮮な空気が必要なんだ」芸術への愛と市民的生活との間で葛藤する繊細な青年トーニオ。自己を求めて遷ろい、かつて憧れた二人の幻影を旅先で見た彼は、何を悟るのか。トーマス・マン(1875‐1955)の自画像にして、数多の作家が愛読した名作が、原文のニュアンスに忠実、かつ読みやすい訳で蘇る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
62
読友さんのレビューのおかげで、『トーニオ・クレーガー』の新訳のことを知ることができました。有難うございます。若い時に繰り返し読んで、心に残っていた本です。今度読み返して、前半は覚えている箇所が多いことに気づきました。トーニオがインゲのことを好きになっても片思いで、愛されることより愛することが幸せだと自分に言い聞かせるところなど。今回読み返したら、忘れていた後半に感銘を受けました。年齢を重ねたトーニオは、自分が憧れていたハンスとインゲに再会。二人は夫婦になっており、(コメント欄へ続きます) 2026/06/19
kero385
31
九州大学大学院教授小黒康正氏による、現在最も新しい「Tonio Kröger」の翻訳。 この小説がいわゆるソナタ形式で書かれていることを詳述している点、最近の研究成果トーマス・マンとアンデルセンの関連などを紹介している点、多用されている「体験話法」(三人称を用いて一人称のような記述を行う用法)に触れている点など、巻末解説は大変優れている。ただ、訳文そのものに焦点を移した場合、以前の翻訳に比べて、例えば実吉捷郎氏や高橋義孝氏の訳業から、失われたものがあると感じる。2026/04/16
ビイーン
28
「永遠の青春小説」。ページ数が少なくて、新訳で読みやすくなっているにも関わらず、何故か読み進まない。歳を重ねると若者の心情的な物語に感情移入ができなくなってしまうのか。もう一回読み返したら印象が変わるかな?2026/09/29
ふぁるく
20
『魔の山』に苦戦し、道を逸れた。描写のひとつひとつに惚れながら、「市民愛」を語る主人公。最後の段落に深く心が洗われた。解説もわかりやすく、訳も忠実な再現に努めたとのこと。ページも一周目で気付なかった箇所を一度読み返したりし、いい体験になった2025/08/15
qwer0987
17
長年親しんできた実吉捷郎訳からの変更とあって、さっそく手にしてみた。内容は過去にも触れているが、訳が変わっても、芸術と市民というどちらにも属せないトーニオが両方の世界を愛し、両方の世界に属していこうと自己確認していく過程が胸を打つ。訳もすばらしく、丁寧に整理して語を組み立てており、文章に気を配っているのが好印象。勢いのある実吉訳や、若々しい印象を受ける河出の平野訳もすばらしいが、本作も岩波という長くスタンダードになるであろうレーベルにふさわしい誠実な訳業であった。2025/07/22




