出版社内容情報
暴君オイゲン公と衝突して故郷を脱出した青年シラー(1759‐1805)が,圧制への反抗と自由への渇望を盛りあげた「群盗」につづく野心作.イタリアの独立都市ゼノアにおける共和政治の危機をめぐって,政治の陰謀と叛乱,旧い勢力と新しい勢力とのたたかいを,多彩な人物群とめまぐるしい情景のうちにみごとに華やかに描き出したもの.
感想・レビュー
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meirokun
2
共和制の為に戦っていたら、いつの間にか野望の虜になっていた一人の男の物語。実は君主国家への憧れを抱いていたフィエスコの物語。奥さんの突然の悲劇は唐突すぎる。でも予感はあったけど。彼を笑う事は出来ない。2010/06/21
armerhund
0
『群盗』に続き1784年に上演されたシラー初期の戯曲。ゼノア(ジェノヴァ)共和国ラヴァーニャ伯であるフィエスコを中心とした政治劇。すぐに分かるように、シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』、レッシングの『エミーリア・ガロッティ』の影響が顕著。フィエスコの心の変化やレオノーレの最期など不満点はあるが、とにかく台詞が熱い。共和主義者ヴェリーナと公爵アンドレアス、その甥ジャネッティーノなどが主要人物だが、解説によれば、フィエスコの右腕として働くムーア人がそれよりも重要らしい。全体として『群盗』より面白かった。2015/08/08
葛
0
1953年6月15日第1刷発行 1999年2月9日第2刷発行 訳者:野島正城 発行者:大塚信一 発行所:株式会社岩波書店 印刷:三陽社 カバー:精興社 製本:中永製本 協力:山鹿太郎、田村義也2020/06/14