出版社内容情報
「アメリカ文学の父」W・アーヴィング(1783-1859)の最高傑作。短篇小説ありエッセイありの雑記帳。上巻には、アメリカ版浦島太郎「リップ・ヴァン・ウィンクル」のほかに、おもに英国の風俗習慣を素描した、格調高い筆致の18篇を収録。上下巻あわせて日本語への翻訳史上初の全34篇を訳出。挿絵多数。(全2冊)[新訳]
内容説明
「アメリカ文学の父」W.アーヴィング(1783‐1859)の最高傑作。短篇小説ありエッセイありの雑記帳。上巻には、アメリカ版浦島太郎「リップ・ヴァン・ウィンクル」のほかに、おもに英国の風俗習慣を素描した、格調高い筆致の19篇を収録。上下巻あわせて日本語への翻訳史上初の全34篇を訳出。挿絵多数。新訳(全2冊)
目次
著者自身を語る
船旅
ロスコウ氏をめぐって
妻
リップ・ヴァン・ウィンクル
イギリス人文筆家のアメリカ観
イギリスの田園生活
ブロークン・ハート
書物の作り方
王室の詩人
田舎の教会
寡婦とその息子
ロンドンの日曜日
イーストチープの居酒屋ボアーズヘッド
文学の変転
田舎の葬式
旅籠の厨房
幽霊花婿
ウェストミンスター寺院
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
高校生の時に英語の授業でサイドリーダーということでいくつか収められている本を読まされたことを思い出しました。「リップヴァンウィンクル」「幽霊花婿」「スリーピーホロウ」などです。こんなにたくさんの短編小説やエッセイ(上下巻)が収められているとは今まで知りませんでした。やや古臭いという感じはありますが当時のアメリカの風景などが知られて楽しめます。2018/12/06
雪風のねこ@(=´ω`=)
83
夫婦、恋人、人間関係を植物に喩える独特の雰囲気は、その時代でしか描けない特徴のように感じる。また著者が見聞きした事をそのまま語っているような作風も、実際その場にいる感じがして面白い。風の音、緑の熱れ、喧噪、静かな寺院、朽ちた墓、仄暗いランプ、人の語らい、酒の匂い。また名声を誇っても直ぐに忘れらると戒め、名作家を「言葉という金脈を遺す」と言って称えている。金ではなく金脈という所が肝だな。リップは日本で言う浦島太郎だけれど悲惨な最期ではなく、時代が代わろうとも人は生きていけるんだよ、という物語でほっとした。2016/07/03
ehirano1
61
「幽霊花婿」について。こういうのあってもいいんじゃないかと思いました。なんかO・ヘンリ―を思い出しました。2023/08/04
NAO
60
アメリカロマン派の大御所であるワシントン・アーヴィングが1815年にヨーロッパ旅行をしたときの体験記で、エッセイだけでなく幾つかのショートストーリーを含む。中でもアメリカ版浦島太郎の『リップ・ヴァン・ウィンクル』はかなり有名な話として知られている。外国人としての視点から見たイギリス人気質やイギリスの田園風景の描写は、描写が美しいだけでなく興味深い考察も多い。アーヴィングが田舎暮らしを好む清楚で気品にあふれた貴族に親愛の情を傾けるのは、貴族階級にに対する憧れもあったようだ。2017/05/04
HANA
55
以前新潮文庫からでた妙訳を読んでおり、印象に残っているのが「リップ・ヴァン・ウィンクル」と「スリーピー・ホローの伝説」だったので、何となく米国版遠野物語といった風に感じていたのだが、今回全訳を読んでそれが全く間違っていたことに気付かされる。伝説を題材にしたものは二篇だけで、後は英国旅行の随筆集といった趣。昔の米国の随筆らしく極めて「全う」な事しか書いていないが。それでもこの全体に底流する叙情的な雰囲気は嫌いじゃない。それでも特に記憶に残るのは「リップ~」と「幽霊花婿」といった伝説に基づいたものであった。2015/01/12