出版社内容情報
モーム一流の大胆率直な人生観・文学観.
64歳となり劇作家としても小説家としても功成り名遂げたモーム(1874-1965)が,自分の生涯を締めくくるような気持で思うところを書き綴ったエッセイ集.モームの人生観や文学観を知るうえで不可欠の書であるばかりでなく,多岐にわたる話題が本音でかなりざっくばらんに語られており,楽しめる一冊となっている.
内容説明
劇作家としても小説家としても功成り名遂げた六四歳のモーム(一八七四‐一九六五)が、自分の生涯を締めくくるような気持で書き綴った回想的エッセイ集。人間、人生、文学、哲学、宗教等の多岐にわたる話題が、モーム一流の大胆率直さで語られる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
90
サマセット・モームの作品は以前から何度も読み直している本(原文の英文を含めて)があります。この本もその一つで、モームが60歳を過ぎて自分の歩んできた道を少し書いておこうと思ってのことのようです。自伝というのではないのですがその時々に思ってきたことや若い人への参考になるだろうということをエッセイ風に綴られています。行方先生の訳は読みやすくまた解説もかなり参考になります。2025/03/21
マエダ
71
こんなに惹きつけられる本は読んだことがない。書いているテーマもさる事ながら、思想自体が似通っている。2019/05/11
Willie the Wildcat
64
文芸論はもちろんだが、哲学・宗教を含めた人生観・人間観を通して、著者自身の価値観に辿り着く過程を垣間見る。真・美・善の理想。故の「悪」と「善」の件が興味深い。印象的なのが、精神的な紆余曲折を通した自らの”不完全性”を語る件。特に恋愛を通した”距離感”に、矛盾ではなく葛藤が滲む点。時間と心の解放という感。蛇足だが、”観客評”は言い得て妙で、思わず苦笑い。2017/09/09
kazuさん
45
「大多数の人々は決められた道を歩むしかないが、芸術家は自分の人生をある程度まで好きなように送れる。神の存在や来世の可能性を否定すると、人生には理由などなく、人生に意味などない」 と文中で述べている。この回想的エッセイは、医学を学び作家に転向したモームらしい人生観についてのサマリーだった。2022/11/20
佐島楓
34
ソリッドな知性を持っている方だ。こういうタイプは誤解を受けやすいのだろうし、実際にそういったことも書いてある。商業的な作家であることについて、多くの示唆を受けた。2015/02/17