出版社内容情報
「ジャーンダイス訴訟」。この呪われた裁判に巻き込まれた人びとの数奇な運命、相次ぐ事件。一九世紀英国の全体像をスリリングに描く代表作。(全四巻)
内容説明
「おまえはおかあさんの恥でした」―親の名も顔も知らずに育ったエスターと、あまたの人を破滅させる「ジャーンダイス訴訟」。二つをつなぐ輪とは何か?ミステリと社会小説を融合し、貴族から孤児まで、一九世紀英国の全体を描きだすディケンズの代表作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
403
★★★★☆ 19世紀半ばのイギリス社会を描いたディケンズの大長編。 ヒロインのエスターは身分こそ高くないが健気で真っ直ぐな性格で、ディケンズ作品にはよく出てくるカテゴリーの人物。 他にも不幸な境遇だがピュアな心を持った人、横柄で嫌な貴族、権力大好きな弁護士などありがちな登場人物が沢山で冗長に感じてしまう。 今のところ、綺麗事だらけのエスターや超自己中なスキンポール、その他慈善事業マニアや身だしなみの権威みたいな奴らにイライラさせられただけだが、殺人事件ぽいのも起こり、今後の展開は楽しみになりつつある。2025/03/20
のっち♬
124
長年続くジャーンダイス対ジャーンダイス裁判の関係者の家政婦になったエスター。全知三人称とヒロイン一人称の視点を入れ後にした前代未聞の構成で、切れ切れな序盤の進行は「霧」のように掴み所がない。他にも「生きて自由の身にならない」鳥籠の鳥たち、「成分や原因は誰にもわからない」のに溜まる泥、社会病巣のメタファーは豊富で余念がない。こんな英国を揶揄した題名に直結するだけに『暗い家』を省みない望遠鏡的博愛の描写は強烈。更には友人に寄生する者、裁判に入れ込む者など、『荒涼館』の住民は行き過ぎた「心づもり」を抱えている。2018/04/24
やいっち
94
フランク・M・スノーデン著の「疫病の世界史(上)――黒死病・ナポレオン戦争・顕微鏡」に拠ると、天然痘(痘瘡)が重要な鍵になってる。18世紀や19世紀のヨーロッパでは天然痘があまりに当たり前に流行っていて、小説でも物語の展開の小道具にさりげなく使われていて、読み過ごしがちらしい。印象的な場面なので、さすがに読み過ごしはしない。ただ、容貌が醜く激変したのは天然痘のせいだとは明確じゃない(明記するまでもなかった)。2020/02/22
momogaga
54
10年近く読む機会を窺っていました。今回読み始めたきっかけは、コミュニティ「Bleak House by Charles Dickensをゆっくり読む」です。ジャーンダイズ訴訟というブラックホールに呑み込まれた人びとのミステリーを楽しみながら、大長篇の一幕目を完了。2023/04/30
アナーキー靴下
52
ディケンズの長編は『二都物語』しか読んだことがなく、あちらは重厚な歴史もののためか文体も荘重、ディケンズ作品は皆そうなのだとばかり思っていたが、本書はウィットに富んだ軽妙な筆致でびっくりするほど読みやすい。加えて、さらに柔らかなエスターの語りが挟まるのも良いアクセントになっている。ページ数が多いうえ全4巻もあるが、これなら楽しく読破できそうだ。それにしても、英国人にとっての皮肉は、日本人にとっての謙遜のようなものだろうか、なんて思うほど、皮肉の効いたユーモアが礼節を失うことなく満ちているのが凄い。2026/05/21




