出版社内容情報
ラファエル前派の画家ロセッティは詩人でもあった。短篇小説、ソネット、抒情詩、長詩から成る〈詩人ロセッティ〉のアンソロジー。
内容説明
ラファエル前派の画家D・G・ロセッティ(一八二八‐一八八二)は詩人でもあった。「手と魂」等の短篇小説、『生の家』所収のソネット、絵画のためのソネット、「閃光」等の抒情詩、「天つ乙女」「エデンの園」等の長詩を一冊にまとめた“詩人ロセッティ”のアンソロジー。
目次
小説(林檎の谷;手と魂;とりなしの聖女アグネス)
ソネット(『生の家』より(玉座につく“愛”;愛の眼差し;肖像画 ほか)
絵画のためのソネット(マリアの少女時代;ウェヌス・ウェルティコルディア;聖家族の過ぎ越しの祭 ほか))
抒情詩(閃光;燈台草;忍冬 ほか)
長詩(天つ乙女;妹の眠り;エデンの園 ほか)
批評(『イタリア古詩人』序)
付録(ウォルター・ペイター「ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
68
画家であり、幻想的な詩を特徴としていた詩人でもあったロセッティ。小説である「手と魂」の画家のあり方は中島敦の『名人伝』みたい。でも最後のフランス人の言い分に対して「己で理解できるものは己の尺度でしかない。例え、理解できなくても価値のないものは何一つないんだよ」と言いたくなりました。詩は絵画のイメージを原典も元に膨らませたものがあって中々、楽しかったです。2015/06/05
ラウリスタ~
12
ラファエル前派の画家にして詩人のイタリア系イギリス人、ロセッティの小説、詩、批評。詩は飛ばし読み、小説(短編)は意外にもかなり面白い。現代イギリスの画家が、自分が描いた恋人の絵を、すでに15世紀のイタリアの画家が描いていたことを発見する短編が、秀逸。その「聖アグネス」の向かいに掛けられた画家の自画像に振り返ってみると、そこには・・・。という、夢幻的な世界。ロセッティは、イギリスでのジャポニスムの嚆矢であり、東大英文初代教授のラフカディオ・ハーンもロセッティを教えていたとかで、日本では昔流行っていたそう。2015/04/25
歩月るな
10
ロセッティのお母さんはバイロンのお付き医師ポリドリの妹なんだって。こういう小説を残すのも然りなんじゃないでしょうか。面白い。解説とウォルター・ペイターの批評で後半が埋まっていますが、ペイターと言われればウォルターペイター以外思い浮かばないけれど、はて誰だっけ、と度忘れしていた。「――の言葉を借りるならば」こういう言い回しですごくそれっぽいなぁと思わされる。学術的と言うか。学術なんだろうけれども。リフレインの扱いには気をつけなきゃ行けないんだな、という変化は事実なかなか参考になった。軽い読み物ではないかも。2017/05/08
圓(まどか)🐦@多忙のためほぼ休止中
2
英国を代表する偉大なる詩人画家。この本は何といってもモノクロとはいえ表題と同一の絵画も収録されていることが一番有難いかも。詩は絵画同様夢想的な印象。訳はとても読みやすく、好きな画家の詩集を手軽に読めることがまずそれだけでも有難いです。2021/05/18
夜游の月
1
色々難しい事はよくわからないのですが、それでもロセッティの絵画を楽しむように楽しめる作品も多くありました。 バラッドは好きです。2022/06/25