出版社内容情報
情から知へ。雄大さから日常性へ。詩がより近しいものへと変貌した中唐から宋・元・明・清。その展開を選りすぐった名詩を通して読む。
内容説明
中国の詩の転換は、白居易らの中唐に始まり、蘇軾らの宋代に定着する。視線は雄大な風景から身近な自然へ、内面は情念の燃焼から理性の輝きへ。さらには新時代の予感を新たな感性で捉える元・明・清の詩。長い歴史のなかでの成熟と展開を、鮮やかな解釈を通して読む。
目次
中唐2
晩唐
北宋
南宋
元・明・清
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
50
宋代になると有名どころが続々と名を連ねるようになる。李賀も「将進酒」を謳っていたが、彼の詩は酒の水色の鮮やかさに味を想像してしまい、思わず、喉が鳴ってしまう。とにかく、酒が飲みたくなるような詩だ。一方で境遇が逆転した陳商に捧げた歌が怖すぎた。不遇を託つ事になった友を慰めているように思えて後半は負け惜しみのような自分語りとなるのはともすれば陳腐とも言えただろう。だが終盤、節穴な世の中へ怨嗟へと切り替わる。鬱屈や激情がある一点を超えた瞬間、表面化した時の驚愕とそれが分からなかったが故の不信からの恐怖に飲まれる2025/01/04
kenitirokikuti
10
図書館にて。概説から「女性詩人」について。極めて少ない。例えば、文選には130人ほど拾われているが、女性はふたりのみである(しかも、片方は明らかに仮託されたもの)。そのかわり、悼亡詩(夫が亡くした妻を悼むもの)や閨怨詩(夫の不在に悲しむ嘆く妻というシチュを書くもの)は多い。白楽天の長恨歌や琵琶行なども(そして源氏物語も)その線にあるようだ。2024/02/03
記憶喪失した男
7
まあ、たいした詩はないね。「古剣」ということばが格好よかった。2019/10/01
紅林 健志
3
とりあえず中唐2だけ読む。「長恨歌」ははじめてちゃんと読んですごくいい詩だと思った。ほかに「香爐峰」もよかった。なんか平安時代の人みたいな感想になってしまった。2025/01/27
kokekko
3
蘇軾の詩が読みたかったが、白楽天や李白杜甫のように読みやすい入門書がないので、この名詩セレクション的な本を手に取る。蘇軾は宋の人間なので下巻収録だ。不遇の状況に置かれても俯瞰的な視点でユーモアとガッツを失わない彼の詩を堪能した。一番印象的だったのは欧陽脩の『啼鳥』。「鳥言我豈解爾意 綿蛮但愛声可聴(鳥のことばは、私にはお前たちの意味はわかりはしないが 耳に心地よいさえずりをただ愛する)」。自分にとってこの古い中国語の詩も、ある意味では心地よい鳥の鳴き声のようなものだ。それにしても漢詩はかっこいいな。2020/12/22
-
- 電子書籍
- 地獄猫のグルグルギータ【タテヨミ】第0…