出版社内容情報
「私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ」――誰もが知る〈友情〉の物語「走れメロス」、自伝的小説として名高い「東京八景」ほか、昭和一五(一九四〇)―一六年発表の中期の傑作七篇。〈言文一致体〉の見事な達成である「駈込み訴え」、ユーモアに満ちた翻案小説「清貧譚」など、〈太宰入門〉として最適の一冊。
内容説明
「私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ」―誰もが知る“友情”の物語「走れメロス」、自伝的小説として著名な「東京八景」ほか、昭和15(1940)‐16年発表の7篇。“言文一致体”の見事な達成である「駈込み訴え」、ユーモアに満ちた翻案小説「清貧譚」などを収める、“太宰入門”として最適の一冊。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kooheysan
3
過剰なまでの自意識の発露であった『晩年』とは全く違い、いい感じで力の抜けた、のびのびと書かれた作品たちが心地よかったです。自他への視線、性格の照れくささまで伝わってくるような…自分の感じたことを裏表なく言葉で表現している感じがします。収録されている七篇(「駈込み訴え」「走れメロス」「きりぎりす」「東京八景」「清貧譚」「千代女」「風の便り」)、すべて気に入りました。というわけで、解説の方に敬意を表して、この作品集を全力でお勧めします。「東京八景」を読んで、再度『晩年』が読みたくなってきました。2025/01/23
ケロリン
2
解説の通り、太宰治さんの作品を手始めに気軽に読める短編集。「風の便り」に特に感心しました。交流自体、手紙のやりとりが初めての二人が相手を理解して鋭い意見を語り合えるところが凄いと思いました。木戸さんのひねくれ具合も、井原さんの愛情深さも、手紙のやりとりから二人の性質が伝わってきて好きです。読者自身に心当たりのある現代のシチュエーションに置き換えて見るのも面白いかもしれません。例えば、深夜テンションの手紙を渡してしまった(もしくは書き上げて渡す直前までで踏みとどまった)経験や、リア凸などなど。2025/02/11