出版社内容情報
森 ?外[モリ オウガイ]
著・文・その他
内容説明
哲学を職業とする金井湛君は、ある時ふと思った。「おれの性欲の歴史を書いて見ようか知らん」―。初出誌が発禁処分を受けた異色作。自伝的要素を背景に、6歳からの性にまつわる様々な記憶を淡々としたユーモアをもって語る。浅草の楊弓場や吉原の廓、当時の男子寮等の様子も興味深い。各頁に詳細な注を新たに付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
23
☆4 発禁処分と聞きどんだけヤバイ内容なんだ?と怖いような楽しみなような気持ちで手に取りました。…うん? 言うほどではなくね? おまけにその手の単語はラテン語ドイツ語英語にしていて、日本語とは違い意味が直接的に入ってこないのも手伝って読む前のイメージよりだいぶマイルド。辞書のエロ単語を引きまくる。恋愛できるのは美男美女だけだと思っている。しかしそんな自分を好いてくれる女性もいるっちゃいるようだ。100年以上前でも人間の本質は変わらないね。2025/07/24
mayumi
17
森鷗外の自伝的小説。発禁処分になったことで有名な作品。主人公・金井湛はある時ふと思い立つ。「おれの性欲の歴史を書いてみようかしらん」。そして語られる彼の半生。読んでみると、直接的な表現もなく、何故これが発禁処分?と首を傾げたくなるけれど、当時としては「性欲の歴史」というあまりにもストレートすぎる物言いが問題視されたのかもしれない。解説が斎藤茂吉で豪華。彼によると、観潮楼の歌会で発禁処分が話題になった時、鷗外はにこにこしていたらしい。世間の反応も折り込み済みだったのかもしれない。2024/03/10
シロナガススイカ
14
「性欲的生活」と訳されるらしい。主人公、金井湛が性にまつわる思い出を綴る小説。彼は人より性欲が無いのでは?と思案しているようで、それはそうかもと思うくらい生々しさは無い。普通に鴎外の記録を読んでいるような感じがしたが、実際のところどうなのだろう?興味深かったのは、男色が自然と存在していること。少し調べただけだが、男色がタブー視されるようになったのは、西欧文化が入ってきて以降だとか。それが今度は許容されようとしているのだから、性の歴史も案外面白い。同じページに注釈があるのが地味にポイント高くてナイス改版。2022/12/25
ゆう
11
「何につけても性欲的写象を伴う」自然主義的な小説が「人生を写し得たもの」として賞美される一方で、自らの実感はそれらと異なり「性欲に冷澹」であったという哲学教授・金井湛。その違和感を端緒に自らの性生活の歴史を文章で辿ることで、人の生涯に関する何らかの真実が浮かび上がるのではないか。そのような好奇心から筆をとった体裁の告白的小説。2026/06/06
めがねまる
7
ヰタ・セクスアリス読了。性欲について思い悩むことがあり手に取ったが、書き手である主人公の金井が性欲に振り回されている人物ではないため内側からの発露というより外側からの冷静な観察といった風情で参考になることはなかったが小説として面白かった。明治初期はまだ江戸の名残があるためか男色の描写もあったのが興味深かった。私は性欲の虎を飼い慣らせそうにないので芥川龍之介のほうのヰタ・セクスアリスも読みたいと思った。2026/01/02
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