内容説明
ポルトガル革命、ロシア首相暗殺、ドイツ皇帝の演説―実況中継のように報じられる世界情勢。はたまたトルストイの家出に「モナ・リザ」盗難事件など、文化面も賑やか。鴎外独自の世界ニュースは、いまも不思議に新しい。人物コラムつき。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
鴎外の作品(というよりはヨーロッパ中心の話題の紹介)にしては本当にゴシップ的な感じで当時のヨーロッパ中心の世情がよくわかります。トルストイについて追っかけのような感じで話題を提供しています。岩波文庫と鴎外ということで縦書きになっていますが、横書きにした方が外国文字が多くわかりやすいのではないかと感じました。2017/09/27
NAO
50
鴎外による1910年8月から1911年10月までの海外通信。この期間、鴎外が何よりも関心を持って記しているのは、トルストイネタだ。1910年10月に人事不省になってから、11月10日に失踪し、11月20日に亡くなるまで、本人だけでなく家族の言動、作家たちの動きなど、現代のワイドショー並みの詳しさで次々と記事を紹介している。注目すべきは、極東に住む日本人には全く関係ないと言ってもいいようなベルリンやパリで興行されているオペラ、新作劇などを詳細に記していること。こういった興行紹介を記しているとき、2016/02/19
壱萬参仟縁
29
○の後に箇条書きが続くような叙述法。トルストイも出る。○ベルリン大学に新会堂(Aula)が出来た。これまでCommode(箪笥)という仇名の附いていた図書館(129頁)。史家Max Lenzの演説で、学問の自由は無辺。認識が世界制覇の力であることを・・・君主はよくご存知。研究のわき出る力、史観においても、国家や教会に、伝統や価値観に掣肘(せいちゅう、干渉)を加えることはない(134頁、ドイツ語あり)。○一家の財政上の問題がTolstoiの家出をした原因(163頁)。2016/04/19
がんもどき
1
図書館本。 詰め詰めに描かれた横文字交じりの文章はやっぱり読みにくい。中巻ではトルストイの死ぬまで、死んだ直後のことを重点的に描いている。またゲーテについてもニュースが多い。後半で「漱石さんの描いた猫」という文章に行き当たり、そういえば夏目漱石が「吾輩は猫である」を描いたぐらいの時なんだと気づかされた。それにしても60歳ぐらいで人が死ぬニュースが多く、百年前の人間の寿命は短かったんだなと気づかされる。2020/07/03
tkm66
0
こういった物を<息抜き>で読めれば良いのだが、必死に速読しようとする我が身の浅ましさが恨めしい。洒落たフランス料理の一皿を定食屋の丼物の様に掻き込む類。猛省。2016/01/11