出版社内容情報
源氏物語の続きが読みたい――昔も今も変わらない愛好家たちの熱い想いが、物語として結実。夢浮橋巻の後日譚として、薫と浮舟の〈その後〉を美しく語る「山路の露」。幻巻には描かれない光源氏の出家と死を辿る「雲隠」。本居宣長が光源氏と六条御息所の馴れ初めを書いた「手枕」ほか、源氏愛に溢れる四篇を編む。
内容説明
源氏物語の続きが読みたい―昔も今も変わらない、魅せられた読者の熱い想いが生んだ物語。薫と浮舟のその後を語る『山路の露』、光源氏の出家と死を描く『雲隠』、本居宣長が源氏と六条御息所の馴れ初めを書いた『手枕』他、“源氏”愛に溢れる四篇を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
57
「源氏物語」を愛する同志が描く、余りにも有名な偽書(二次創作集)。「山路の露」は浮舟出家後の物語。薫に諦めてもらうよう、涙を呑んで弟と逢わなかった浮雲。修行は彼女の身に合っていたが、家族へ募る思慕からくる罪悪感や薫との仲を取り持とうとする周囲のお節介に気苦労は絶えない。そして月灯りの下での薫との再会は感動的だろう。しかし、私からはホラーだった。世間から身を捨てて自由になったのに庭に元ストーカーが忍び込んで返事してくるなんて怖すぎるわ!和歌の比喩表現が分かりやすくなった事で心情が素直に綴られているのはご愛敬2023/02/05
Koning
44
源氏虹ですw。と言っても既にこれらが古典古文に分類されちゃう時代の物。巻頭の序文なんかを見ると今のなろうやカクヨム辺りで書いてる人と変わらんメンタリティを感ずる訳でございます。本居宣長の作以外匿名てのもらしくていいですよね。2023/06/16
maekoo
12
源氏物語を愛する享受者による偽書を補作と呼び表題作と手枕等4作品を纏めて読める嬉しい書! 原文と訳に近い校注が付いていて読み解き易い! 既に前段の3文献は何度も原文を読み特に鎌倉時代の山路の露は引歌や表現も良く気に入っている作品! 室町時代の雲隠六帖は浮舟の還俗や中の君の死等仏教色が強く暗い内容。 宣長の御息所との出逢いを描いた手枕は源氏物語愛が溢れていて好きな作品! 「別本八重葎」は末摘花の蓬生を膨らませた妖怪物語と言うユニークな作品で初見で面白し! 巻末の参考文献は既読の文献が4冊有り他も含め整理に◎2022/12/27
アメヲトコ
10
光源氏はどんな最期を迎えたのか、薫と浮舟はその後どうなったのか——余韻を残して終わる物語は読者の想像を誘います。本書は源氏物語の熱烈なファンたちが、本編を読むだけではあきたらず、本編に書かれなかった物語を自ら補作した、いわば二次創作同人作品を集めたものです。「雲隠六帖」はとりわけ超展開ですが、末尾にいけしゃあしゃあと跋文をそれっぽく偽作するあたり、中世っぽくていい。末摘花が登場する「別本八重葎」は他とは趣が異なる作風で、スピンオフとしてなかなかの出来栄えです。本編と装幀や本文組を統一した岩波文庫も◎2023/05/18
leiaikawa
3
中世〜近世の源氏物語のおたくによる時を超えた壮大な同人アンソロ。というか本居宣長大先生の教え子が志を同じくする者のために自費で出版した(手枕)とあるの、要は同人誌やんと突っ込みたい。内容も源氏本編を模して古歌や漢詩など踏まえて綴られていて、さすが千年分の同人おたくがいるジャンルは違うと思わされた。2022/12/22