出版社内容情報
イタリアの片田舎ネミ.その昔,聖なる森と呼ばれたこの景勝の地には一本の聖なる木があって,司祭職の地位は,その枝(「金枝」)を手にした男の間で争われた.フレイザーは,この風習の由来を説明しようと研究の筆を執る.この民俗学資料の宝庫『金枝篇』の第一歩は,こうしてしるされた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
16
屠殺して食べたり利用したりする一方でその動物を神として尊崇するという信仰、生物無生物問わず災厄の転嫁、そして火祭りと様々なケースを探っていく。屠殺に関してはアイヌのイオマンテが詳細に、類例も紹介されている。魂を異界に送る際、またこちらに来て貰ったり異界で人間に利する行動をとって貰えるよう、もてなした上で殺す。これは王の身代わりとしての人間犠牲とは細かいロジックは異なるのだろうが、結果として似た儀式になっているのが興味深い。日常的に屠殺した上で敬するアイヌ型、日常的に崇拝して儀式の際だけ殺すエジプト型と2024/03/01
ミュポトワ@猫mode
10
ようやく読み終わった金枝篇4巻。この巻の話は、肉食や災厄の転移、火への考え方などが記載されてます。また、この巻ではアイヌ民族も紹介されており、日本の民族を扱ってもらえるのはうれしいものです。またハロウィンについても背景から記載されており、実は火祭りでトリックオアトリートなんて言っていないというのは興味深いものでした。しかし、何といってもとても読みにくい。今の日本を見て、ハロウィンとはそもそも何かを考えるうえで読んでみて、とはとても言えないほど読みにくいです…もう少し読みやすければお勧めするんですけどねぇ…2018/07/03
有沢翔治@文芸同人誌配布中
5
アイヌの話は本当によく集めたと感心しました。(長いけど) http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51512978.html2020/05/22
藤月はな(灯れ松明の火)
3
神聖な獣と供犠。人は肉を喰らうがそうしなくても人間は生きていける。「神は生贄を欲するがそれはなぜか?」という疑問は人間の罪深き性を生贄で代替するためだと「マタギや山人がなぜ、普通の人間という見方をされなかったのか」という問いや女が聖職に就く理由もこの本で考えさせられます。2012/01/01
Kaname Funakoshi
2
神の代理、あるいは身代わりを殺して生まれ変わらせること。アイヌの熊。火祭りの諸相2023/05/31