出版社内容情報
レヴィ=ブリュル(1857‐1939)はデュルケム学派に属するフランスの社会学者・哲学者.本書は彼の学問的業績としてもっとも有名であり,また激しい論争をひきおこしたもの.未開人における因果律の観念,人格や霊魂,自然観,象徴,原始神話等を多数の具体的な資料によって論述してあるが,文明人と未開人との心性を根本的に異質なものとした点に特徴がある.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
3
死者の所有物(喪があけるまで)と生者の所有物。「生きている人の財産も同じく触るべからざるのものである。所有された物は、他人がそれを取ろうとは思わないほど所有者に強く融即しているため、例えば、ギアナのマキュシス族では、「各個人の財産は、小屋であっても、道具であっても、或は彼の耕す畑であっても、神聖である。この財産の侵害は、戦のとき以外は、殆ど不可能であり、したがって俺のものだ、お前のものだという所有権に関する抗争は、稀有である。」で自分の物に何か目印をつけておけば、それはもう手を触れべからざるものになる。」2024/07/03
allomorph
1
文明社会と未開社会の心性の間の隔たりがたとえどんなに大きくても生と死だけは全ての人間に平等に訪れる現象だろうと思ってたらみごとに出鼻を挫かれた。世界について「何が正なのか」が違うのだと思った。主観か客観かを問うのは無意味。文明人にはただ野蛮にしか見えない行為も彼らの心性に立脚した正当な根拠を持っている。もしや所有者と所有物の融即はハワイ語などのalienable possesionとinalienable possesionの文法的区別と関係があるのでは、と思った。土地や物の「私有」が無いわけではない。2014/12/30