出版社内容情報
カリスマがいなくなった後も、支配は続いていく。その支配を支えるものは何か。ウェーバー没後に編集された『経済と社会』のうち、『支配の社会学』として知られてきた部分を全集版に基づき訳出。支配の前提と諸構造を経済との関連で論じたテクスト群である。関連論文のほか、詳細な訳註や用語解説、索引を付す。(全二冊)
内容説明
カリスマがいなくなっても、支配は続いていく。何が支配を支えるのか。支配の前提と諸構造を経済との関連で論じたテクスト群のうち、カリスマと教権制をめぐる部分を収録。付録として関連論文のほか、詳細な訳註や用語解説、索引を付す。
目次
カリスマ
カリスマの組み替え
カリスマの維持(および規律)
国家と教権制
付録1 レジティメイトな支配の三つの純粋類型
付録2 国家社会学の諸問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
90
ウェーバーの「支配について」の後半で、「カリスマ」「教権制」について述べられています。昔読んだ時よりもはるかに読みやすくわかりやすくなっています。節ごとに小項目ごとに分けられています。カリスマについては「カリスマの組み替え」という個所が過去のカリスマが登場してきて性格がかなり変わってきたことなどが述べられています。用語の解説と訳者によるあとがきがかなり参考となっています。2024/05/15
Ex libris 毒餃子
11
IとIIを合わせて読んでみて良かったです。後半は特に宗教社会学の毛色が強い。ヴェーバーの研究の集大成となっていると感じた。2024/12/03
ぷほは
11
とにかく議論に収まっている歴史の射程がえげつない。副題から想定される古代~中世の事例を軽々と飛び越え、たとえばヘンリー・ヴィラードの「ブラインド・プール」(52頁)が合理的経営とカリスマ的商売の対立事例として登場し、父リッケルトの名簿所持がカリスマと官僚制の対立としての、ドイツ自由思想家党の分裂の要因として例示される(94頁)。さらには植民や軍隊編成に変わる合理的運営の最新事例としてテイラーシステムが言及される(124頁)。歴史家に収まらない、同時代に対する感度の高さがこの人を社会学の巨人たらしめている。2024/01/28
tharaud
5
Ⅰ巻よりも読むのに根気を要した。後半はかなり専門的な宗教社会学的論考。最後の最後で、クエーカーなどの宗教の「ゼクテ」(セクトのことか)が、自分たちの存立の論理的前提として「良心の自由」を必要とすることが、「人権」や「基本権」を生み出すことにつながり、それが資本主義の拡大に寄与した、とさらりと書かれていて唸らされる。遺稿をまとめたものだが、完成していたらいったいどんな本になっていたのか。2024/12/31
ぱぴ
2
Ⅱも無事読了できたことに安堵。Ⅰでは主に官僚制、家産制、封建制について、Ⅱではカリスマ性と教権性(宗教)についての考察が延々と続く。それぞれがどのような状況でどう絡み合い、どのように資本主義へと繋がっていくのか、歴史の深い洞察と観察、支配する者とされる者の計算できない情念や心理に至るまで、細かく幅広く描写されている。また、平和主義的に続く支配下において確実に勧められていく平準化の波の中で、「個人の自由」がいかにして顔を覗かさるか、「基本的な人権」の起源まで到達している。また時間を置いて没頭してみたい。2024/08/04