出版社内容情報
支配はいかにして成り立ち、何によって支えられるのか。支配の諸構造を経済との関連で論じたテクスト群。ウェーバー没後に編集された『経済と社会』のうち、『支配の社会学』として知られてきた部分を全集版に基づき訳出。詳細な訳注や用語解説を付す。Ⅰは官僚制・家産制・封建制をめぐる章を収録する。(全二冊)
内容説明
支配はいかに成り立ち、何によって支えられるのか。支配の前提と諸構造を、経済との関連で論じたテクスト群。ウェーバー没後に編集された『経済と社会』のうち、『支配の社会学』として知られてきた部分を訳出。詳細な訳註や用語解説を付す。
目次
支配(権力と支配。過渡的形式;支配と行政―民主的行政の本質と限界;「組織」による支配、妥当根拠)
官僚制(近代的官僚の機能様態;権限 ほか)
家産制(家父長制的支配構造、日常的性格、パーソナルな服従;家長の権力、家の子どもと奴隷の子ども ほか)
封建制(封建制の分類;レーエン(封土) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
103
この本はすでに創文社版の「支配の諸類型」で読んでいますが、岩波文庫で新たな訳で出版されたので再読してみました。Ⅰでは「官僚制・家産制・封建制」ということでかなり理解しやすい構成になっています。数ページの項目に分かれていて用語解説もあります。最近の日本ではあまり読まれないのでしょうが、私の時代には比較的重要な参考文献でした。支配の類型の一つとして日本の官僚制と比較して読むとかなり知見があります。2024/05/09
Ex libris 毒餃子
13
支配の正当性についての論拠について勉強出来てよかったです。宗教社会学者からスタートした学者としてのキャリアをまざまざと感じる。後半の政体についても期待しています。2024/11/17
春ドーナツ
13
たぶん3年前から岩波文庫の新刊を毎月購入している。浅学な私にとっての未知なる挑戦です。で。名前だけは聞いたことがあるけれど、勝手に英国人と思い込んでいたし(ドイツ人)、社会学者であることも知らなかった。過日読了したヘーゲルの「法の哲学」と重なる部分があるかと思いきや全然ない。というか、社会学ってかなり射程の広い学問なのかと思う。歴史、宗教、経済、人類、政治。ウェーバー氏のあっちこっち飛び跳ねる博覧強記な論述についていくのが精一杯です。ドイツの単語には多義的な意味があるからといって、そのままカタカナ表記とい2024/02/22
ぷほは
9
年末年始を挟んで読了。ウェーバーの文体はかなり読みにくい上に遺稿を別人がまとめているので、勉強ノートをそのまま読まされているような気分になるのだが、理論社会学のように飛躍が大きいわけでもなく、ルーマンのようにワケのわからない文体でもないため、辛抱強く付き合えば論旨を把握することはそれほど難しくない。特に本書はかなり簡明な邦訳で用語や歴史的事象、人物に対する注も充実しており、助かる。続刊はカリスマに関するもので、これも今から楽しみではある。今巻は家産制と封建制の区別についてかなり解像度を上げることができた。2024/01/06
tharaud
8
この巻では、古代エジプトからアメリカの大統領選挙まで膨大な事例を並べつつ、官僚制、家産制、封建制という支配の類型の特徴を描き出していく。ウェーバーの19世紀的博覧強記もさることながら、洞察の深さ、観察眼の鋭さにしびれる。自分の属する組織のあり方に当てはめることで気づくことも多く、すぐれた分析は時代を超えるのだと感じる。カリスマによる支配を扱ったⅡ巻も楽しみだ。2024/11/12
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