出版社内容情報
ユダヤ人とはなんであったのか,との問いに始まり,ユダヤ民族のパーリア的資本主義を考察したこの論文は,ヴェーバーの比較宗教社会学研究のなかで『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』とあわせて,西洋の近代経済倫理の発展の歴史的理解に重要な著作である.全3冊.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
29
【古代ユダヤ教】旧約聖書中最大必要とされた論理構造であるタナッハ資料を再編成したユダヤ教著書がここに登場する。新約聖書を概観するうえで必然根拠化された旧約資料がキリスト教起源であることを否定したヴェーバー論考は否定反証的な根拠を求めるべきではない。旧約古典化に貢献した功績と実績は『論理哲学論考』以来の画期的『ユダヤ神秘主義』に連関するも「神秘」と偏見解釈された新約聖書誤解を再解釈した旧約像の貢献は非常に多く評価されるべきだろう。古典ギリシャ文学と旧約聖書を明晰に割り当てた名著は後世に現代思想展開を停止化。2013/05/30
壱萬参仟縁
5
近代文化形成の根柢に生きた起動力として作用した特殊の合理的日常倫理を「合理的(禁欲的)実践的生活態度(傍点)」として規定(ⅷページ)。「経済に対してもつ隊商路の意義」(68ページ)。都市貴族と誓約同志共同体との戦争で、この通商路がさびれ、脇道を通り、農民にも影響したという。通商路の重要性が理解された。ベリース(契約)は重要(191ページ~)。イスラエルにとってはブント(206ページ)。宗教上の神との関係、部族上の他族との関係において、契約とは重要と改めて自覚させられる。中東の宗教や民族問題の難解さを実感。2012/12/19
しょ~や
3
「プロテスタンティズム……」しか著作を知らなかったから経済学の印象が強く、宗教に関する著作が様々にあることに驚いた。2014/06/10
ヴェルナーの日記
3
ドイツにおける屈指の社会学者・経済学者ヴェーバーが宗教比較学研究において、彼が晩年に著述した一書。本来、この後キリスト教・イスラム教へと進むはずが、果たせずにこの世を去ってしまったのは非常に残念だ。 宗教という分野を社会構造的倫理と歴史的史観にたって書かれた本書は俊逸とも称するべき内容ですが、旧約聖書の引用が多いので、あの膨大な旧約聖書群に一通り目を通しておかなければ、完全に内容を把握できない。2013/01/04
Akiro OUED
1
旧約聖書を歴史書と認めて、嫉妬する神ヤハウェとイスラエルの民の宗教的契約を宗旨とするユダヤ教の成立を推理してみた。特にデボラの歌が語る内容は、史実と見なしたらしい。ある意味、屁理屈こねてるだけなのかも。宗教社会学で記紀を読み解けば、ヒミコの真の姿も浮かび上がってくるか。2023/06/26
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- 和書
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