出版社内容情報
社会科学の方法論について,認識理想としての「価値自由」と方法概念としての「理念型」を定式化し,方法論論争のきっかけとなった記念碑的論文.詳細な解説・注,索引を付す.旧版「社会科学方法論」の補訳新版.
内容説明
今世紀初頭、社会科学に巨大な業績をのこしたヴェーバーが、社会科学の方法論について論じた記念碑的論文(1904)。認識理想としての「価値自由」と方法概念としての「理念型」を定式化し、後世に大きな影響を与えた。本文の理解を助けるための付録3篇、詳細な解説・注、索引を付す。旧版『社会科学方法論』の補訳新版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
従来「社会学方法論」として出版されていたものを、1936年に訳されたものを折原先生が掘り出して、補訳と解説をかかれています。折原社会学の最たるものだと思います。とくに解説は授業の解説を聞いているようで非常に判りやすさを感じました。普通はこの本の半分の厚さの本ですが解説が半分を占めています。折原先生は、安藤英治氏が「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」について大塚訳よりも梶山訳のほうがいいと見直された例を挙げておられます。2016/06/16
アミアンの和約
17
「客観」とは何か?という命題に徹底的に迫った本。マックス・ヴェーバーの深い考察は、私には難しすぎたが、人が「客観的に見る」というのは無自覚の内に主観が入り混じるので、本当の意味での客観性というのは実現できないことなのかもしれない。2023/11/20
小鈴
14
基本のキって感じで。折原浩訳がオススメらしいです。その道の権威です。折原浩さんは東大紛争で学生側に立った教員ですね。今ではウィキにも書かれているのか。。。退官後は名古屋大学、椙山にいたのか。。。へぇ~~~!2020/03/21
さきん
11
客観的に科学するというのはどういうことなのか、雑誌に文を寄せるという形で著者が考えを述べていく。実在を論理的な意味における理念型と論理的に比較しながら関連付けること、実在を理想から評価し、価値判断を下すことを峻別することを訴えている。社会科学は真理を追究するためにおこなっている他、人間の生活にあまりにも近い研究対象であるが故に社会への研究成果の活用も求められており、それに引っ張られて科学性を失ってしまってはならないという風な内容だと読解した。本当はもっと細かく書かれているのでちゃんと読むことを薦める。2016/04/21
肉欲棒太郎
5
「価値判断」や「理念型」概念について、啓発される。意外だったのは、ウェーバーは「中間派」や「相対主義」に対しては徹底的に批判的であったというところ。あと、イデオロギーと科学的客観性との峻別という文脈で、何となく宇野弘蔵を連想。2016/04/17