出版社内容情報
制度派経済学の創始者として有名なアメリカの特異な社会学者ヴェブレン(1857‐1929)の主著.資本主義の独占化に伴なう貸付資本の形成の中に現代の有閑階級出現の理由を見出し,彼らの心理風俗を克明に分析していく手際はみごとである.
内容説明
制度派経済学の創始者として有名なアメリカの特異な社会学者ヴェブレン(1857‐1929)の主著。資本主義の独占化に伴う貸付資本の形成の中に現代の有閑階級出現の理由を見出し、彼らの心理風俗を克明に分析していく手際は見事である。原書は1899年刊。
目次
緒論
金銭上の見栄
衒示的閑暇
衒示的消費
金銭上の生活程度
趣味の金銭的な基準
金銭的文化の表示としての衣服
労働免除と保守主義
古代の特性の保存
現代における武勇の残存
幸運を信ずる心
宗教的儀式
非差別的関心の残存
金銭的文化の発現としての高等な学問
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
s-kozy
31
娘からの借り本。興味深い内容でした。2020/05/19
Nepenthes
4
名著。有閑階級を観察し、その生態を社会生物学のような論調で淡々と説明していく文章は、個人的感情を廃した無機質さでシニカルな笑いを誘う。ゾンバルトの名著「恋愛と贅沢と資本主義」とベクトルが同一だが、あちらは談話のような人間味のある小気味良さ。しかしどちらも笑えて面白い。自分は本書とゾンバルトの著作を読んだ辺りから、経済学とは哲学性の濃い個人的学問なのかもしれないと気付き始めた。そのきっかけを与えてくれた一冊。本書を手元に置いておけば哲学書として個人の生活と生き方に充分に活躍すると思う。普遍的名著です。2022/07/19
ガイちゃん
3
有閑階級という概念は現代の日本には浸透していない気がするが一つの目指したい生活の完成形だと思う。ちくま学芸文庫版は読みやすかったが時間の都合で読みきれなかったからまたの機会に再読したい。
よく読む
2
貴族のような特権階級では、働くことはかっこ悪い。作業に向かない高級な派手な衣服をまとうようになり、世間体を大事にする。庶民とはかけ離れた感覚だ。2020/03/28
カワウソさん
2
恐ろしく鋭い洞察力と皮肉めいた彼の文章を前にすると「経済学も芸術に近いな」と思わされる。彼の洞察力の恐ろしさはその知識の量だけでなく、今の時代にも通じる「普遍性」であると思われる。今日言われる「社会の格差」も彼の言葉を見れば「うーむ…」と納得せざるをえなくなってしまうのである。さて、彼の時代、所有を許された「有閑階級」の層が時代とともに少しずつ増えている現代では、どんな有閑階級が存在するのであろうか?2018/04/01