出版社内容情報
本書は,ヘーゲル左派運動の総括として,マルクスとエンゲルスが自己批判を込めて共同で執筆した未完の遺稿で,「唯物史観誕生の書」とも呼ばれている.厳密なテキストクリティークに基づき,読みやすさにも配慮した決定版.
内容説明
近代化へと身悶えするドイツで、「近代」の夢と失望を哲学的に先取りしたヘーゲル左派。その運動を自己批判を込めて総括した若きマルクスとエンゲルスは、本書で「近代」のパラダイムを超える世界観を定礎した。定評ある広松渉編訳・新編輯版にその後の研究成果を反映させ、豊富な訳註を加えた、文庫決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Major
21
学生時代に『資本論』を始めとするマルクス・エンゲルス、レーニン、トロツキーあたりの著作を熱心に読んだ。もっとも感化された著作が『ドイツイデオロギー』である。史的唯物論を基礎とする共産主義社会への革命に至る理論よりも、革命そのものへの情熱が所々に迸り、それがアフォリズムのように胸を打つ。ヘーゲル哲学における精神の弁証法について深く理解し、それを批判的に(フォイエルバッハを始めとするその当時のドイツ哲学への系譜の精緻な分析を通して)乗り越えている。コメントへ続く2017/08/31
シュラフ
21
唯物論的歴史観に以前から興味をもっていて、やっと読んだ、というよりこの書を眺めた、といった感じである。われわれの社会を成り立たせているのは人間の理想・理念といった観念論的なものではなく、ただ物質的諸条件といった唯物論的なものだという味も素っ気もない話のように思える。だが主張の第一前提とする「人間たちが生活できていなければならないということ」は現実問題なのである。われわれは、服を着て・ご飯を食べて・家に住まう、ことで生きていく。物質的な豊かさが精神を豊かにするということ。とても客観的なものの見方なのである。2016/03/16
roughfractus02
11
遺稿を修復し著者たち個々の書き込みも区別する文献学調査を経た本書だが、なお不明瞭な部分はあるという。観念の論争では現実は動かないとしてフォイエルバッハ、バウアー、シュティルナーの哲学を批判する本書は、現実を構成する土台(生産関係)と国家等意識が形成する上部構造の関係から歴史の各段階を捉える唯物史観の基礎を提起したとされる。一方、生産関係はまだ法的な所有に留まり、歴史分類も所有概念に依拠する等生産関係概念の吟味が初期段階にあり、初期工業社会の分業制を単に否定する等、後の『資本論』にはない考え方も散見される。2026/04/01
NICK
10
ドイツ人であるはずのマルクスやエンゲルス(当時ドイツ本国にいなかったとはいえ)がどうしてあたかもドイツの思想を俯瞰、総括しているような超越的な立場で記述できるのか? というのはこの著作(草稿)が永遠に抱える問題であるにしても、あらゆる思想・文化(上部構造)は経済や人の流れ(交通)という下部構造によって規定される、という史的唯物論のエッセンスにはやはり目を引かれる。要するに生活がなきゃ宗教も哲学もその他もそもそもできないんだということなのだろうが、だからこそマルクスは革命の思想として全世界に伝播されたのだ2016/04/13
それん君
8
ドイデ読了。今まで思想が歴史を作ったと思ってたけど、この本を読んでガラリと見え方が変わった。 2020/05/07




