出版社内容情報
第二次世界大戦下、世界各国の外交戦の全貌を描いた一大記録。上巻には,日米開戦直前の「日本の最後協定案」までを収める.(全2冊)
内容説明
第二次世界大戦下、世界各国が展開した外交の全貌を、厖大な資料を渉猟、駆使しつつ鋭い視点から描いた一大記録。政治家にして学究であった芦田均(1887‐1959)が、後代の日本外交へ向けて憂国の思いを込めた畢生の警世の書でもある。上巻には、ドイツのポーランド侵攻による欧洲での開戦から、日米開戦直前までを収める。
目次
ポーランド分割の戦争
芬ソ戦争と沿バルチック三国の終焉
ノルウェー戦争
西部戦線異状なし
日本における軍国主義の跳梁
外交低迷時代の日本
失望をかった阿部内閣
帝国議会のささやかな抵抗
常識的な米内内閣
日支戦争以降の日ソ関係〔ほか〕
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
16
著者は外交官であり、戦後内閣総理大臣。そして日本国憲法第9条2項の芦田修正の提案者。積読してふと手にして読み始めたのだが、極めて学究的な著述に驚き。大変優れた政治外交史書として読むことが出来る。読み始めたのがロシア・ウクライナ戦争でロシアがウクライナの4州を強引に併合した時期であり、その時読んでいた箇所がソ連のバルト海三国併合の箇所。ロシアのやる事は旧ソ連と全く変わってないと思ったものである。日米開戦へ至る時期の日本政府の腰の定まらなさと言ったら…。芦田さんは後世への教訓としてこの本を書かれたのであろう。2022/10/29
Happy Like a Honeybee
11
日米開戦までの経緯を辿った一冊。1941年まで貿易関係もあり、日米関係は良好。蘭印の石油を巡り、南進を企てた辺りから英米関係が悪化。三国同盟やドイツ固執する軍部。戦争を避けようと奔走する野村大使。冷静な判断をしている昭和天皇など、どう解釈するかは後世の人間の判断による。2016/05/23
イボンヌ
9
東條内閣が誕生したあたりまでが、上巻でした。膨大な資料をもとに再現されています。しかし知識不足で消化不良でした。2017/09/17
大臣ぐサン
5
久しぶりにがっつりと第二次大戦の政治史を読んだ気分。著者は戦前の外交官にして後の総理大臣芦田均。実際外交に携わっていた当人の言であるからこそその重みもまたひとしお。こうやってみると、やはりあらゆる人物が戦争を回避しようと奔走したにも関わらず、あの戦争は回避ができなかった。まるで時代がそれを望んでいたとでもいうように。二つの世界大戦は帝国主義という時代を終わらせ、人類を次のステージに進めるために準備されていたシナリオだったのではないだろうか。2020/09/06
くらーく
4
読み応え十分すぎて、なかなか進まなかった。貸出期限を2度延長して何とか。本書は戦後総理大臣になった外交官であり政治家である芦田均が、1959年に亡くなる直前まで書いていた遺作のようです。戦後復興を経験しての戦前を語っているところもポイントかもしれない。世界情勢と日本情勢を行き来しつつ、当時の政治軍事がどういう判断をしていったかが、非常に興味深い。今から振り返れば、三国同盟なんて何で?と思うけど、時系列に並べればあり得るなあ、と思うわ。ソ連との関係もしかり。だいたい反共だったのにね。あと昭和天皇。英邁だね。2022/09/14