内容説明
国際政治学は「モーゲンソーとの対話」の歴史である。あるがままの人間を観察すれば、政治はつねに権力闘争である、という命題に行きつく。人間性についての怜悧な仮説に基づくハンス・J・モーゲンソー(1904‐80)の現実主義とは何か。国家の外交に「力」と「国益」という概念を導入してこそ平和が得られる、と主張した国際政治学の古典的名著。
目次
第1部 国際政治の理論と実践(リアリストの国際政治理論;国際政治の科学)
第2部 権力闘争としての国際政治(政治権力;権力闘争―現状維持政策;権力闘争―帝国主義;権力闘争―威信政策;国際政治におけるイデオロギーの要素)
第3部 国力(国力の本質;国力の諸要素;国力の評価)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
26
‘48年初出。社会をよくするためには、社会を動かす法則を理解することが必要(40頁)。富として定義される利益によって理解される経済(43頁)。経済学は、富が明らかに量的であるがゆえに社会科学のうちで最も精密(86頁)。国際政治とは、権力闘争である(94頁)。軍事力が戦争で行使されるとき、軍事力が政治権力に替わったことを意味する(98頁)。帝国主義の政治現象は、源の経済システム、資本主義の産物。帝国主義は資本主義発展段階の最終段階、独占資本主義と同一視(137頁)。2014/12/23
加納恭史
23
今年の札幌はお盆を過ぎても蒸し暑い。マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は概説しか読んでなく、社会学の説明は分かり難いな。歴史や政治学からの資本主義の発展や国際法からの帝国主義の説明が欲しいので、この本を手に取る。第一次、第二次大戦前後の帝国主義の概説には良いようだ。その当時は帝国主義の維持の帝国の権力闘争のようだ。ロシアとアメリカの覇権争いが主軸だ。ロシアは共産主義の支配の国家連合、アメリカは資本主義のリベラルの民主主義と宗教の寛容。ロシアは宗教改革なしのロシア正教。2023/08/20
Koning
22
御多分に洩れず池内blogの影響で読む。上巻は国際政治の理論と実践ということで、政治的リアリズムであったり、権力とはなんぞやとか、国力とはというあたり。2015/10/10
ヒロキです
21
現実主義の観点から国際的な政治について著された本。基本的な国際政治学を学んでいただけに読みやすかったと思う。中でも帝国主義について、それが本当に帝国主義なのか見分けるのが非常に難しい、帝国主義の国は帝国主義と言わない且つ現状維持政策と思われるものが長いスパンでみると帝国主義であったことがあるからだと言う。帝国主義は文化的、経済的、軍事的に行われ、成功する多くはこれらを組み合わせて為されてるものだと言う理論は非常になるほどと思わされた。 上だけでなく中、下もこれから読んでいきたい。2019/11/05
Francis
17
リアリズムの立場にたった国際政治の教科書的な著作。日本ではまだ「リアリズム」は正当な評価を得ていないようだが、この本はとても分かりやすい、納得のいく説明がなされている。地政学、ナショナリズム、国力、軍国主義、今で言う「ソフトパワー」の概念の説明もされているなど、著者の視野の広さも伺える良著。2019/07/23
-
- 電子書籍
- 虚勢でレベルアップする!【タテヨミ】第…