出版社内容情報
近代ドイツの公法学者イェリネク(1851‐1911)が学界における地位を確立した著作で,彼の思想的発展の根底をなすもの.法の基本的諸問題への展望を得るために,倫理的なものの科学的概念を確立することを目的とし,有名な「法は倫理の最低限」の語を創った論及として,また犯罪と刑罰の社会現象的考察として,意義の高い文献.
感想・レビュー
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うえ
1
「法の道徳に対する無関係を示す如き第二の点は、道徳上禁ぜられることが法上許されることがあるといふ点である。即ち『何人もその権利を用ひる場合は、悪意を以て行ふものにあらず』貧乏な債務者からその最後の資産を奪ふ無情な債権者は、不道徳を行ふものにあらずと」イェリネクはそれに異を唱える訳だが…●「正義の概念こそ、洵にその存在の上に育成されてゐる一切の諸観念の基礎をなすものである…刑罰は正義の一作用であること、勿論絶対的正義のそれではなくて、社会的正義のそれであること、全く明らかである」2015/02/17