出版社内容情報
一国の人民の境遇が平等になるにつれて,個人はより小さく見え,社会はより大きく映る──国民の平等化が進んだ民主的国家にこそ生じる強力な専制政府の脅威を予言,個人の自由の制度的保障を主張する.(全4冊完結)
私は現代の人々の中に,諸国の人民がこの地上で自らの主人となることは決してなく,過去の出来事と人種や土地,あるいは気候に由来する何か克服し難く,物質的な力に必然的に支配されると考えてきた者たちがいるのを知っている.
これは誤った怠惰な教義であり,無力な人間と軟弱な国民しか決して産まぬであろう.神は人類を完全に独立した存在にも,根っからの奴隷にも創られなかった.たしかに,神は人間一人一人の周りに,脱することのできない決定的な囲いをめぐらされた.だがその広い限界の中では,人は強力で自由である.諸国の人民も同じである.
今日諸国民はその内部で境遇を不平等にすることできまい.だが境遇の平等が国民を隷属に導くか自由に導くか,文明に導くか野蛮に導くか,繁栄に導くか困窮に導くか,それは彼ら次第である.
(「第4部第8章」より)
内容説明
一国の人民の境遇が平等になるにつれて、個人はより小さく見え、社会はより大きく映る―トクヴィル(一八〇五‐五九)は、国民の平等化が進んだ民主的国家にこそ生じる強力な専制政府の脅威を予言、個人の自由の制度的保障を主張する。
目次
第3部 デモクラシーが固有の意味の習俗に及ぼす影響(境遇が平等になるにつれて、どのように習俗は和らぐか;デモクラシーはアメリカ人の普段の付き合いをどのように簡素でくつろいだものにするか;アメリカ人が自分の国ではあれほど神経質でないのに、われわれのところに来ると傷つきやすくなるのはなぜか;これまでの三章の帰結 ほか)
第4部 民主的な観念と感情が政治社会に及ぼす影響について(平等は本来人間に自由の諸制度への好みを与える;民主的諸国民の政府についての考えは本来権力の集中に好意的であること;民主的諸国民の感情は彼らを権力の集中に向かわせる点で彼らの観念と一致すること;民主的国民を権力の集中に向かわせることになるか、それともこれを避けさせるか、これを決めるいくつかの特殊、偶然の原因について ほか)
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