内容説明
『リヴァイアサン』で知られるホッブズ(一五八八‐一六七九)の政治論はいかに構築されたか。その基盤となる歴史観を示す、著者晩年の代表作。世代の異なる二人の対話形式で一六四〇‐五〇年代のイングランド内戦の経緯をたどり、主権解体と無秩序を分析する。本邦初訳。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
「ビヒモス」というとノイマンの本(ナチスの体制とその思想を分析したもの)を思い浮かべてしまうのですが、これは「リヴァイアサン」を書いたホッブスの作品です。リヴァイアサンが政治分析の本であるとするとこの作品はもう少し歴史体制分析の本といえるのではないかと思われました。日本ではあまり触れられることのない場面ですが、このような歴史分析手法もあるのかと感じました。いままでほとんど訳されていないようですね。2018/04/25
藤月はな(灯れ松明の火)
82
英国で起きた清教徒革命について、何が起きたか、それ故に如何に国王による統治が大切かを説いた本。当時を知らない若者が、当時を生き抜いてきた者へ質問しつつ、何が起きたのかを知っていく対話形式で綴られるので意外と取っ付きやすい。聖職者が大衆を先導し、議会も大衆に阿るかのように 王を無視して権威を振るうようになった。そして国王の処刑により、権威が不在になったことから内戦状態になったのだと。民主主義の瑕疵を指摘しながらも、解説で疑問も提示しているのが為になります。そしてクロムウェルら、ランプへの怨嗟が凄まじい。2019/02/11
壱萬参仟縁
23
偽善とは不正に不正を、自己欺瞞とは愚行に愚行を重ねる(17頁)。黙り犬:イングランド教会が指定したとおりの訓戒 を人民に読み聞かせる教会聖職者(51頁)。臣民の徳はすべて、国の法への服従。法への服従こそが正義と公正なの だ(83頁)。国の廷臣や役人の過大な権力(117頁)。 2015/03/27
ジュン
9
神保町で購入した。独ソ戦の最中に刊行され、ナチスドイツ研究の不朽の名著とされる。威嚇と忖度による服従の連鎖を「戦前」に解きあかしているに驚愕する。2021/07/08
feodor
9
ホッブズの描く清教徒革命史。ホッブズは、基本王党派で、絶対王政擁護の立場だとわかっていても、なかなかにむちゃくちゃだよ、と思うような理屈がまかり通る不思議な本だった。国王はつねに正義で、議会が国民の代表だから主権を持つとかちゃんちゃらおかしい、という立場から見ると、革命までの流れはまるで違ってみえる。おいたわしやチャールズ1世陛下、という感じ。〈しかし、彼ら(議会派)には、勇気と経験の両者が合体したもの以上に戦闘時には勝利への原因になるもの、すなわち悪意がありました。〉とか一周まわって名言にすら感じる。2015/01/19
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- 和書
- 緑の家の女 角川文庫