出版社内容情報
イギリスの政治哲学者ホッブズ(一五八八―一六七九)の主著.各人が各人を敵に争う戦争状態こそ人間の自然状態であり,国家とは,平和を維持するために絶対主権をもって君臨すべくつくりだされたいわば人工の人間にほかならない.書名を聖書に語られる巨大な怪獣の名にもとめた本書は後世に絶大な影響を及ぼした.
内容説明
「万人の万人に対する闘い」から出発して社会契約による国家の形成を説明し、近代自然法にもとづいた国家の絶対主権を歴史上初めて理論づけた不朽の書。第1部「人間論」のあとをうけたこの第2部では、国家権力の絶対性をさまざまな角度から論じてゆく。
目次
第2部 コモン‐ウェルスについて(コモン‐ウェルスの諸原因、発生、定義について;設立による主権者の諸権利について;設立によるコモン‐ウェルスのいくつかの種類について、および主権者権力の継承について;父権的および専制的支配について;臣民の自由について ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
14
リヴァイアサンの第2分冊。前巻に続いてこの分冊にて「万人と万人との闘争」を終わらせるためのリヴァイアサン=コモンウェルスが語られる。しばしばホップスは絶対王政を擁護したと思われることが多いのだが、この分冊ではそのようなことは感じなかった。むしろ貴族制が理想なのでは?とも思える。それから水田洋先生の翻訳はやっぱり読みにくい。2020/07/24
ハイちん
12
なんで法律を守らないといけないのか。ということについての精巧な考えが述べられている。人々は、自然下では全てのものに対する権利を主張し、そのため万人の万人による戦争状態に陥ってしまう。これを回避するためにコモン‐ウェルス(国家)が作られる。国家の成員には、主権者(王、政府)の統治(法律)に従順であることが義務付けられる。つまり国家の一員であるという時点で、国民は法律に従う必要があるのである。(それがどんなにくだらない法律であっても)。たぶんこんな内容だったと思うのだが、訳文が独特で理解できているのか怪しい2016/06/22
泉のエクセリオン
10
自然権としての生存は自己保存であった。つまりそれは自分の身を守る安全保障である。しかし「各人が各人に対しての戦争状態」が人間の本性であるのなら「生きるために殺し合う」というのは矛盾している。なので、人間の理性の役割として「平和を求める」のである。そこで分割されない絶対的な主権を持つ「主権者」を設定し、国家を設立する。この人工国家リヴァイアサンを「コモン-ウェルス」という。しかしお互いがお互いに恐怖を抱いているのであればそれだけでは十分ではない。政治的臣民の諸組織、公共的な代行者、所有権、刑法を整備していく2026/06/05
yukihirocks
10
内容自体はシンプルで面白いのに、読点の数がジジイの構文並みに目につくのは翻訳のせいなのだろうか? しかもその位置は「意味の繋がり(区切り)」を重視して置かれているのではなくて、文字面や語の切れ目ばかりを意識して置かれたもののように見える。ホッブズ思想の魅力の一つは冷徹な論理の組み立てと容赦のない突き付けにあると思うのだが、本書に関しては、その読点の違和感のせいで「一息で押し切る論理の推進力」が損なわれているように感じる。ホッブズの論理(内容)の筋自体は明快で一直線なだけに、正直勿体ないと言わざるを得ない。2026/05/07
てれまこし
10
マキァヴェッリは多くの中世(キリスト教信仰や人文主義を介して)を引きずっていたけど、ホッブズはガリレオやデカルトとも知己があってより近代的。神への絶対的帰依を説く新教徒の多くが世俗的なものに係わっていくのは不思議なんだけど、神の超越性を強調すればするほど神については語れなくなる。今まで神について言われたことはすべてばかげた戯言ってことになる。神は恐れ敬うしかできない。だから世俗的なものとは切り離されて、後者が自律的な知の領域になる。神の奇蹟を信じるブラウン神父が犯罪調査では神の介入を否定するのと同じだ。2024/03/16




