出版社内容情報
イギリスの政治哲学者ホッブズ(一五八八―一六七九)の主著.各人が各人を敵に争う戦争状態こそ人間の自然状態であり,国家とは,平和を維持するために絶対主権をもって君臨すべくつくりだされたいわば人工の人間にほかならない.書名を聖書に語られる巨大な怪獣の名にもとめた本書は後世に絶大な影響を及ぼした.
内容説明
各人が各人を敵に争う戦争状態こそ人間の自然状態であり、国家とは、平和維持のために絶対主権をもって君臨すべく創出されたいわば人工的人間にほかならない。こうホッブズは主張し、まず国家を創造し構成する人間の分析を行なう。
目次
第1部 人間について(感覚について;造影について;影像の連続あるいは系列について;ことばについて;推理と科学について;ふつうに情念とよばれる、意志による運動の、内的端緒について。およびそれらが表現されることば〈について〉;論究の終末すなわち解決について ほか)
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
那由田 忠
28
全四冊は大変なのでとりあえず第一巻だけは読もうと思った。ホッブズの社会契約説の展開を詳しく知りたかったのだ。彼はデカルトの『省察』原稿を送られて、デカルトが精神の世界で形相を残したのを批判したようだ。物体から形相が送られて感覚が生まれるのでなくて、物体の運動に圧迫されて感覚が生ずるのだとという唯物論だから。その延長線上に意志もあるのだ。そうなると生命の維持のために何でもできるという自然権が当然にあるとなる。そこからの国家形成の話は中々難しい。しかし、当時としては革命的な考え方だったとよくわかる。2019/01/25
Francis
20
10数年ぶりの再読。日本でも教科書で教えるくらい有名な啓蒙主義の著作だが、実際に読んだ人はほとんどいないというありがちな本。しかしこれを読まないと日本国憲法の前文に謳われた「人間普遍の原理」がどういうものなのか理解できないのだ、と言う事くらいは気づいて欲しい。冒頭は人間の認識論から始まり、やがて有名な「万人の万人に対する戦い」と社会契約について論じていくことになる。トマス・ホップスの知的格闘の成果がいかに偉大なものだったか、この第一分冊を読むだけでも分かろうというもの。2020/06/13
マウリツィウス
19
ヨブ記に姿を顕在化する言説上の存在は英国を支配した国家論の完全性保証へと利用される。英国優位性を建て上げる十全な根拠を人類普遍史に用いる方法論において英国国教会=キリスト教統治を一時的に完結させ近代文明を明示した。シェイクスピアの具象化論を否定する思想大成の齎す高領域可視化実体化はこの時代の思想体系の最大特徴としてジョイスやボルヘスに参照されることとなり啓蒙的意味で異教の介入をも同時鎮圧、表題の実際の意味は黙示論ではなく完結空間の確立によるキリスト救済観を反転したその権威的国家力の概念実現の仮定演説だ。2013/05/06
ラウリスタ~
18
ルソー読んでると、やっぱりホッブスも読んだほうが良さそうだったので、読んでみた。なかなかファンタスティックなことを言っている。「誰かの欲求または意欲の対象は、どんなものであっても、それがかれ自身としては善とよぶものである。」っていうとんでもなく乱暴な定義が最高。そう考えるほうが適切なのかもね。なんとも絶妙な距離感のある面白い文章。ふざけてるのか本気なのかいまいち分からん。2012/09/07
yukihirocks
10
現代でも十分にスリリングな古典の名著だと思う。「不平等だから争う」ではなくて「人間は生まれながらに平等だからこそ自然状態においては闘争になる」という一見逆説めいた主張が面白い。一応イエスを救世主として扱ってはいるものの、宗教一般に対する態度は明らかに「統治ツールの一つ」であり、それも含めて、例のガリレオが撤回させられたような同時代にこれほどまでバッサリと言い切ることができるのかと驚かされる。個人的に感銘を受けたのは、元来における「名誉」とは「道徳的な(善悪的な)立派さ」ではなくて「力関係」の多寡という点。2026/04/30




