出版社内容情報
特殊相対性理論の提唱後、アインシュタイン(一八七九-一九五五)は、自然法則の時空的記述について、より一般的な枠組みを与えるべく思考を重ねた。本書は、彼が一般相対性理論を着想し、その定式化を完了するまでに発表した論文のうち六篇を精選する。思索の流れ、試行錯誤、困難を克服する鍵となったアイデアが浮き彫りになる。
内容説明
特殊相対性理論の提唱後、アインシュタイン(1879‐1955)は、自然法則の時空的記述について、より一般的な枠組みを与えるべく思考を重ねた。本書は、彼が一般相対性理論を着想し、その定式化を完了するまでに発表した論文のうち6篇を精選する。思考の流れ、試行錯誤、困難を克服する鍵となったアイデアが浮き彫りになる。
目次
総説 一般相対性理論誕生までの道のり
掲載論文1 相対性原理とその帰結―第5部 相対性原理と重力
掲載論文2 光の速度と重力場の静力学
掲載論文3 一般化された相対性理論と重力理論の草案―I. 物理の部
掲載論文4 「一般化された相対性理論と重力理論の草案」へのコメント
掲載論文5 重力の問題の現状について
掲載論文6 一般相対性理論について
掲載論文7 「一般相対性理論について」への補遺
掲載論文8 重力場の方程式
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
88
図書館の新刊コーナーで見つけて。読んでも理解出来ないだろうなと思いつつ、アインシュタインに触れてみたくなって手に取った。複雑な数式の前に、ほとんど理解出来ずに終わったが、アインシュタインも試行錯誤を繰り返しながら、理論を創り上げていったのだなということは、なんとなく分かったような気がする。2023/03/19
molysk
56
ニュートン力学の修正を要請した特殊相対性理論だが、その範囲は等速運動する慣性系に限られ、重力や加速度を記述することはできなかった。アインシュタインはより一般的枠組みを与えようと、一様な重力場と基準系の定加速運動が等価であるとする「等価原理」、理論が任意の座標変換に対して不変であるという「一般共変性」、時空計量が重力ポテンシャルの役割を果たすとする「計量仮説」を基本原理として、一般相対性理論を完成させる。6篇の論文の数学的・物理学的な理解は難しいが、アインシュタインの思考をたどることには価値があるだろう。2024/01/28
まちゃ
56
アインシュタインの思考に触れてみたくて手にした一冊。アインシュタインと言えども試行錯誤しながら最終的な重力場の方程式を完成させたことは分かりましたが、その内容については到底理解できませんでした。アイデア(仮説)、それを表現する道具(微分幾何学などの数学)、そして洗練化。アイデアと道具の洗練化が天才たるゆえん、なのかもしれません。2023/03/17
yuka_tetsuya
4
論文の数式の展開は全く理解できなかったが、アインシュタインが巨人の肩に乗って、多くの批判に応えながら、特殊相対性理論からひとつひとつ一般相対性理論へ理論を積み上げていった精神闘争が垣間見えた。物理学会での講演後のディスカッションは人間アインシュタインの一面が出ている。最後のページに論文で引用されている物理学者・数学者の名前のリストと簡単な解説が掲載されているが、そのきら星の如き先駆者によって、一般相対性理論が作り上げてきたのが感慨深かった。2023/11/09
Hayato Shimabukuro
3
まず、ことわっておきたいが、この本は「一般相対性理論を理解するための本」ではないです。一般相対性理論を理解したいなら、良い教科書がたくさん出版されています。この本は、アインシュタインが一般相対性理論を作り上げるまでの苦労を知るための本であり、アインシュタインの思考を辿る本です。2023/08/21