出版社内容情報
「アルプスの氷河」以後10年にわたるアルプス登攀の詳細な記録と氷に関する研究数篇とを収める.自然を限りなく愛した彼は登攀を飯よりも好んだけれど,四六時中アルプス山中にいることはできなかった.登攀にはそれ以外の千の研究がかかっているからであると彼はいう.ここに科学者としての真面目があり,本書の価値がある.
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
5
1871年初出。文庫邦訳1934年。ごくまれに挿絵が出てくる。「高いアルプスの住人には(略)ラスキンが私的に論じてゐる」(41頁)。ラスキンのようにアルプスの峰が岩塊が花崗岩の岬に打ち当たる波浪で作り出されたのか、と問う(47頁)。自然の捉え方が鋭いので、今、こうした指摘をされても不意を突かれた感じを受ける。自然への感性が鈍った結果なのだろう。111頁の線画のマッターホルンも人生や社会の厳しさを伝える意味で素晴らしい。ラスキンはアテナが智慧と新鮮な空気で思想を創ることの価値を指摘し(272頁)、興味深い。2013/04/14
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