出版社内容情報
数学と物理学が大きな転換期を迎えていた二〇世紀初頭。科学などすべて仮説にすぎず、信ずるに足りないとの懐疑論が広まるなか、本書は書かれた。科学という営みの根源について省察し、仮説の役割を哲学的に考察した、アンリ・ポアンカレ(一八五四-一九一二)の主著。一〇〇年にわたり読み継がれてきた科学哲学の名著の新訳。
内容説明
数学と物理学が大きな転換期を迎えていた20世紀初頭。科学などすべて仮説にすぎず、信ずるに足りないとの懐疑論が広まるなか、本書は書かれた。科学という営みの根源について省察し、仮説の役割を哲学的に考察した、アンリ・ポアンカレ(1854‐1912)の主著。「万能の天才」と呼ばれた数学者が平易に語る。
目次
第1部 数と量(数学的推論の本性について;数学的量と経験)
第2部 空間(非ユークリッド幾何学;空間と幾何学 ほか)
第3部 力(古典力学;相対的運動と絶対的運動 ほか)
第4部 自然(物理学における仮説;現代物理学の諸理論 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
80
学生時代にこの本と「科学の価値」「科学の方法」のポアンカレの三部作を岩波文庫で読んだ覚えはあるのですが内容は霧の彼方です。訳文が非常に難しいのと文字が細かいことだけは覚えています。それが新訳で非常に読みやすい感じがしました。仮説には大きく三種類あるということでのところがわかりやすかったのと更に人名解説が付録としてついていることで読む助けになりました。2022/04/30
月をみるもの
16
数学的帰納法と物理の帰納の違い:「ある定理が1なる数、2なる数、3なる数、その他について順次に真であるのをみれば、この法則は明白であると我々はいう。回数を非常に多くしても、結局限られている観測に基くあらゆる物理学の法則が明白だというのと同じ意味である。そこに帰納の常用手段と著じるしい類似があることは見のがせない。しかしながら本質的な差異がある。物理学に適用される帰納法はいつでも不確実である。なぜかといえば、これは宇宙の普遍的秩序、すなわち我々の外にある秩序、に対する信念に基づいているからである」→続く2022/02/27
kazutox
7
1902年の本。新訳で字が大きくて読みやすい。が、内容は難しい。一般人向けの啓蒙書ではぜんぜんない。理系の大学生向けくらいか。私は半分くらい分かりませんでした。分からないなりに、20世紀の相対論・量子論とそんなにかけ離れた内容ではなく、19世紀と20世紀の科学は地続きである、という感じがしました。2024/05/14
山のトンネル
7
2021年12月に新訳版が出た。「すべてを疑うこともすべてを信じることも共に安易で、思考を放棄するに等しい」とは?なぜ、すべてを疑うことが思考を放棄することにつながるのか?気になる。2022/08/22
ある計算円
6
大数学者ポアンカレによる、科学において仮説どのような意味を持つか説いた書。科学とはどうあるべきかについて非常にためになる。また仮説は3種類あり、それぞれ別の意味で重要な役割を果たしているとあり、今まで漠然としていた仮説の意味が明確になった。後半は最近の科学動向も解説していて、例えば当時の電磁気学の急速な発展が伺い知れる。エーテルの存在が仮定されていた頃で、まさに特殊相対性理論前夜って感じだ。2025/06/20
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