出版社内容情報
イスラム教は,仏教,キリスト教と共に世界三大宗教の一つになっている.『コーラン』はイスラム教の聖典.その中にはイスラム教を興したアラビア人マホメットの行動と,彼を通してえた神の天啓とが鮮かに写し出されている.当時のアラビア民話も織りこまれており,アラビア人の本質を理解する上で,本書は大いに役立つ.口語訳.
内容説明
『コーラン』各章の配列は、成立年代とはほぼ逆になっている。(下)に収められた初期(メッカ期)の啓示は、サジュウ体と呼ばれる独特の散文詩体で語られ、なまなましい緊迫感がみなぎる。強く激しいシャーマン的リズムの中に浮び上がる地獄の光景は圧倒的である。
目次
サバア―メッカ啓示、全五四節
天使―メッカ啓示、全四五節
ヤー・スィーン―メッカ啓示、全八三節
整列者―メッカ啓示、全一八二節
サード―メッカ啓示、全八八節
群なす人々―メッカ啓示、全七五節
信者―メッカ啓示、全八五節
わかりやすく―メッカ啓示、全五四節
相談―メッカ啓示、全五三節
光りまばゆい部屋飾り―メッカ啓示、全八九節〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
45
「改訳『コーラン』後記」を読んで、意外にも井筒が苦しみ訳し直しをしている姿に気が抜けたというか、安心しました。最後の章建てが短くなるにつれ、世界は変わらないので言葉の密度は高くなる。その緊張感の果ては世界の終わりではなく、はじまりだった。読んでいる者に対して切迫感を与え、非常に苦しい感じがします。一神教的エートスは世界の周辺で自然と戯れる日本には合わないというのが率直な印象です。『日亜対訳クルアーン』の注釈を井筒訳の参考にしました。この新訳があるのも井筒訳の貢献は小さくないのではないでしょうか。2022/01/17
マウリツィウス
22
【コーラン】イスラム圏において尊重された宗教学見地における経典意義とは古代ユダヤ教概念ではなくキリスト教派生定義から逸脱した根拠論であり多神教性格と一神教性格を同時に孕む。否定根拠としての《秘跡》は仮否定、カトリック同一視もまた誤りであり宗教崇拝指摘もまた誤解を免れない。重要論点は古代イスラエルから文明隆起を辿り源流がアジア諸国に浸透したことで、旧約/タナッハ資料を極力原典名に除外することで信仰的実証性を有した。イスラム/宗教論典型の一側面である「アラー崇拝の意義齟齬」は正すべき課題。実際は救済の統一論。2013/06/10
Aya Murakami
21
今回は眉をひそめてという箇所にクスリときた。あきらかに見栄えの悪い人に対してムハンマドが眉をひそめる…。もちろんアッラーはお叱りを下すわけで…。ムハンマドも生きた人間だったのですね…。不届きかもしれませんが親近感湧きます。2018/01/14
RIN
17
下巻は怒れる神のほぼ脅し。アッラーを蔑ろにする者は地獄に堕ちるぞ。地獄は苦しく天国には酒池肉林が広がっているぞ。という露骨な俗っぽさをひたすら語る。聖戦に関しては更に過激さを増し、女性関係の諸々はマホメット自身の言葉に思え疑わしい。コーランは年代ごとに教えや表現の差が大きい為、全部を受け入れるよりも自分に合った教えを大切にする方が良さそうだなと思う。正直理解も共感も難しいが、アラビア語の不思議な響きと遠い異国の刺激的な香り。深い信仰が奏でる神への祈りはきっと美しく荘厳なのだろうと、そんな夢を少し見ている。2022/05/29
funuu
16
慈悲ふかく慈愛あまねきアラーの御名において これ預言者、無信仰者や似非信者とはあくまで戦いぬけよ。思い切り手荒に扱うがよい。どうせ彼らの行きつく先はジャパンナム(ゲヘナ)。まことに、おぞましい旅路の果て。預言者で世俗の統治者ムハンマド。その世界に世界中を戻すのが目的のIS。かってのソ連のインターナショナルの発想。同じ潮流は中国アメリカ、ロシアEUにもある。2016/09/11