出版社内容情報
1521年のヴォルムス国会で国法の保護外におかれたルターをめぐって,プロテスタントの諸侯は現世の主権としての王権への対応に困惑した.本書において著者は,霊と世俗の世界の峻別を説き,現世の主権の限界を述べてそれに答えた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハンギ
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ルターの三編の論文が収められている。ルターというと真面目な宗教指導者という気がするが、読後の印象としては良くも悪くも中庸な思想の持ち主のようだ。ドイツは西欧の中でも後進国であり、ドイツ人は野蛮人であると何度もルターは指摘し、また本当のキリストの精神を理解している人間は少なく、善人も少ない。だからこそ、軍事力の行使は仕方が無いものであって、また殺人を行なうような刑吏にしてもそれは仕事だから仕方が無いとする。そして君主に逆らうものは農民から公爵に至るまでも神の呪いを受けるのではないか、と議論する。2014/03/18