出版社内容情報
トマス・ア・ケンピス(一三七九/八〇‐一四七一)が自らの宗教体験から修道士たちの精神生活の完成のために書いた書.「霊の生活に役立ついましめ」「内なることに関するすすめ」「内面的な慰めについて」「祭壇の秘蹟について」の四章からなり,神への愛を欠く生のいかに空しいかを説く.世界中で聖書についで最もよく読まれた書物だという.
目次
トマス・ア・ケンピス(1379/80‐1471)が自らの宗教体験から修道士たちの精神生活の完成のために書いた書。「霊の生活に役立ついましめ」「内なることに関するすすめ」「内面的な慰めについて」「祭壇の秘蹟について」の4章からなり、神への愛を欠く生のいかに空しいかを説く。世界中で聖書についで最もよく読まれた書物であるといわれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
59
15世紀初に生きた修道者が修道士の精神生活について書いた本。完成までに31年かかっているそうで、「あなた」と仲間の修道士に語りかける形からキリストとの対話形式へ、本が進むに従い作者の瞑想や祈りが深まっていくのを感じます。彼が語るのは無常の世を、脆い人間としての様々な艱難に満ちた生を、神に随身し生きること。「本当の霊における向上は」「自己、を否定し去ることにある」等の言葉には時代や生きてきた環境の隔たりを感じざるを得ませんが、ただ儘ならぬことに直面し、自己の弱さを見つめる作者の言葉はとても胸に響きました。 2019/08/02
壱萬参仟縁
41
人間はみな生まれながらにして知を望み求める。けれども神を畏れることのない知識が何の役に立とうか(16頁)。謙遜に身をわきまえることの方が、深遠な学問の探究よりも、神に至る、よりたしかな道である(19頁)。気高く、深遠な書物と同様、信心ふかく、素直な書物を、喜んで読むべきである(22頁)。温厚な人は、学問を積んだ人よりむしろ益するところが多い(73頁)。第3巻第26章 読書よりもむしろつつましい祈りによって得られる自由な心の卓越性について(152頁~)。2016/04/15
優希
31
キリスト教のエッセンス的な本だと思います。自らの宗教体験から修道士たちのために書かれているので、イエス・キリストにあずかる身としてのあり方が凄くよくわかります。皆等しくあり、愛することの尊さは修道士に限らず、信者にとっても心得ておかなければならないことでしょう。神への愛がない生活は霊的な恵みのない時間であり、そういう生活はいかに空虚であるかを考えさせられます。信者としての自分がどうあるべきかを見直すきっかけを常に与えてくれると言ってもいいでしょう。敷居が高そうに見えますが非常に読みやすいです。2014/05/14
あんさん
11
15世紀、カトリック司祭による修道士たちへ書かれた本。霊的生活へのいましめ、内的なことに関する勧め、内面的な慰め、聖体拝受についての4編。感じたのは、どこまでもキリストと一致したいピュアな願い。また神と私個人との関係であり、私たち、ではないこと。この世のことは虚しく考え、家族ですら時に悪魔に例えて天国の永遠を望むこと。なるほど、ここまでの徹底は、世俗に汚れた私には難しい。こんな修道院生活への憂鬱からカルミナ・ブラーナも生まれてきたのか。2025/10/13
有沢翔治@文芸同人誌配布中
10
非キリスト者の僕にはあまりピンとこなかった一作です。2015/06/08




