出版社内容情報
新約聖書冒頭におかれた,マルコ,マタイ,ルカ,ヨハネの四つの福音書は,それぞれにイエス・キリストの地上における言行を記録し,これを「喜びのおとずれ」として告げ知らせたもの.本文庫版は口語訳の実現に半生を捧げた訳者が,教説に捉われず,正確さ,分りやすさに全力を注いで成った万人のための福音書である.
内容説明
新約聖書の冒頭におかれた四福音書はイエス・キリストの言行を記録し、これを「喜ばしきおとずれ、吉報」として告げ知らせたもの。本文庫版はその口語訳の実現に半生をささげた訳者が、教会の伝統にとらわれることなく、あくまでも学問的な立場にたって正確さと分かりやすさのために細心の工夫をこらした画期的な個人訳聖書である。
目次
マルコ福音書
マタイ福音書
ルカ福音書
ヨハネ福音書
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
71
個人訳による新約聖書の福音書でした。口伝的に訳しているのか、読み物としての物語性を強く感じます。イエス・キリストを主人公にした4つの物語を読んでいる感覚になりました。巻末に新約聖書及び共観福音書、四福音書の成立について解説しているのはいいと思います。普通の聖書と異なり、マルコ福音書から始まっているのに若干違和感を感じました。2015/11/12
syaori
40
4人が記した「喜ばしい音ずれ」(福音)、イエスの生涯と言行。読み継がれてきただけあって、信仰を持たない者にも訴えてくる力があります。それぞれ異同があるのですが、解説によると、マルコ、マタイ、ルカは歴史的事実を述べており、ヨハネは神学的要素を持っているそうです。専門家でないのでその辺のことはよく分かりませんが、前者3つでは(ヨハネに比べると)素朴で、しかしそれだけに力強い、木や山も動かす信仰の力が、ヨハネでは、それより一歩進んで、信じることで一つになり「互いに愛せよ」というメッセージがとても心に残りました。2017/03/01
molysk
29
再読。原始キリスト教との関係を意識した。イエスの昇天は紀元30年ごろ、最も古いマルコ福音書の成立は70年手前とされる。数十年を経て、キリスト教の原型となるものが固まるなかで、イエスの生涯の記録が福音書に纏められたのだろう。マタイ福音書は、旧約聖書の預言の成就を重視しており、パレスチナでの布教に使われたか。ルカ福音書の原典は流暢なギリシャ語であり、ヘレニズム文化圏での成立が予想される。ヨハネ福音書の成立は1世紀末か2世紀初頭とされる。教会組織の伸長が進んだ時期とみられ、その神学的記述との関連を感じさせる。2019/12/30
壱萬参仟縁
29
その金を貧乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる(41頁)。ルカでは、権力者を位から引き下し低き者を高うし・・・(172頁)。わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招いて悔改めさせるために来たのである(190頁)。御馳走をする時には、貧乏人、片輪、足なえ、盲人を招きなさい。あなたは神からお返しをうけるのだから(233頁)。一しょに喜んでください。いなくなっていたわたしの羊が見つかったからと。2015/03/17
吉野ヶ里
27
二千年前一番賢かった人の話。規律は人間のためにあるけど、今の人たちは規律を人間より上においてるってことに反発したんじゃないか、と思う。「良いこと」だから神が命じたって立場なら、彼についていくのもいい。神が命じたから「良いこと」なんだって立場とは対立することになるんじゃないかな。イエスはすごいし、賢いし、神の子なのかもしれないけれど、人間にはちょっと厳しいね。金持ちが神の国に入るのはなんて難しいことなんだろう。全部分けろってのは全部のことで、給料の一割とかのことではない。今の時代、誰が教えを守れるのか。2016/07/05
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