出版社内容情報
幼稚園の創始者として知られるドイツの教育者フレーベル（一七八二―一八五二）は何にもまして幼児期の教育を重視した．『人間の教育』は，生涯にわたる幼児教育の実践と研究から把みとった教育理論を世界や人間に対する基本的な考え方と結びつけながら体系的に展開したもの．「子供に生きようではないか」がかれのモットーであった．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほし
9
第一篇「全体の基礎づけ」、第二篇「幼児期の人間」、第三篇「少年としての人間」を熟読し、第四篇の「生徒としての人間」はだいぶ流し読みをして、いったん読了としました。 フレーベルは幼稚園の創始者であり、現代でいう積み木の原型を作った人でもあります。 幼児期の教育を何にも増して重視し、その大切さと方法論を述べたものが本書「人間の教育」になります。「人間は生まれながらに善である」という思想がベースとなっています。 約190年前にドイツで書かれた本ということですが、現代においても十分に響くものがありました。↓2019/03/04
壱萬参仟縁
9
教育の目的は、職分に忠実な、純粋な、神聖な生命を表現すること（１３頁）。善い教育、正しい教授、真の教訓は、必然性が自由を、法則が自己決定を、外的強制が内心の自由意思を、外的憎悪が内心の愛を喚起する（25頁）。人間は、誤りをおかすことができるものでなければならないからこそ、善良で有能で有徳（１５７頁）。教育はつくづく、理想通りにはならないと実感している。特に、危機意識というか、リスク、緊張感のないところに事故が起きる。魔の手は必然的に伸びてくるのだろう。教育は不可侵、タブーではなくなってきた社会病理を思う。2013/09/12
ぺろりん
0
フレーベルのいう「神」は、人間の中にある神的なもの、自由と自己選択よって、人間の生命を通して表現されるもの。神と自然が支配する法則がもつ「統一性」「個別性」「多様性」の側面ににおいて三位一体的に表現されるもの。前半は幼児期・少年期の教育論、後半は教育内容論。フレーベルの内容論はかなり独特なので理解する必要なし。前半の教育論はのちの発達理論を先取りするような鋭さがある。2021/09/08
