内容説明
シュタイナーは、時代に対して実存的、主体的に生きることによって、同時代人でもある孤高の哲学者ニーチェの思想「超人」に出会う。本書は、他の多くの論考に先駆けて、すでに19世紀末に発表された本格的なニーチェ論であり、シュタイナー思想の原点ともいうべき重要作である。
目次
第1章 性格(知性と本能;生きることに価値があるのか;生きる力―創造力と権力 ほか)
第2章 超人(大いなる軽蔑;内からの呼び声;二つの本能―蛇と鷲 ほか)
第3章 ニーチェ思想の展開(マクス・シュティルナー;ショーペンハウアー;ディオニュソス的芸術 ほか)
講義 フリードリヒ・ニーチェ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kota
13
前半は34歳時の著作、後半が50前の講演二本という構成。相違点も多そうな二人だが、前半はシュタイナー色も薄く実に解りやすい解説書で、ニーチェ入門に最適。後半は独自のニーチェ像を展開し、両者の相違点が掴める。訳者の高橋氏の解説も秀逸。思想が必要なのは生きる意味と価値を確認し、どんなはげまし、力づけを体験できるかであり、それはショーペンハウアーから若きニーチェが、ニーチェから若きシュタイナーが、そしてシュタイナーから高橋氏も受け取ってきたもの。読書とは自らもそこに連なることだと思うと、少し胸も熱くなる。2019/07/28
ゆとにー
13
読みやすいは読みやすいが、はたしてニーチェ観をこれで描いてしまっていいだろうか、と言えばおそらく否だろう。己より高次の存在に隷属する生き方を堕落と看破し、自らの本能に従って弁証的な高みを目指す生き方をこそ選び取るのがニーチェだという構図は見取り図として分かりやすいが、そこからこぼれ落ちているものもきっと多いだろう。自己啓発本読むのと多少似た感覚が湧く。同時代的な資料としては面白いか。2019/07/16
kaz
8
めちゃくちゃわかりやすかった!もう一度『ツァラトゥストラ』を読もうと思う。 あと、岡本太郎好きな人は全員読むべし。 ニーチェからめちゃくちゃ影響受けてたんだな、とわかる。2017/02/08
乱読家 護る会支持!
4
シャタイナーの書いたニーチェ論。 ニーチェの仕事の最終目標は「超人」という人間の理想型の記述である。自分の本性のままに生き、人生の目標を自分の存在にふさわしい 生活をいとなむことの中に見ることのできる、ずばぬけた個性を、ニーチェは「超人」と名づけた。超人は、自分の外に存する目的に仕えるために人生がある、と信じる人間 の正反対である。超人、つまり自然に応じた生き方をする人間、つまりどんな人の中にも、例外なしに超人がひそんでいる。。。 僕の中にも超人はいると信じたい。変人はめっちゃいてるけど(笑)2020/01/26
yukari
4
なるほど~good!生き方の話で、既存の道徳基準や規則に捉われて生きるのは弱い人で、強い人は自分の中にある価値基準こそを貫く、その価値基準は社会と対立することももちろんある、みたいな内容はたしかにだれかも言ってたなあ。解説を読んで、第一次大戦後のシュタイナーの考え方が仏教の生きとし生けるものが幸せであれというそれに似通っていて、おお~となった。深堀りしてゆくとどこかで繋がっていたりするのだなあ。ニーチェの永劫回帰と仏教の転生輪廻とはどこがどうちがうのだろう?あとで調べる2017/02/12