出版社内容情報
イエズス会宣教師ロドリゲスは一五七七年に来日,卓抜な日本語力により通訳として活躍し,秀吉や家康の知遇も受けた.その彼が日本語を学ぶヨーロッパ人初心者のために著した本書は,口語の文法を中心に,発音,敬語,文体,さらに日本人の命名法,各種の位階名などを解説し,日本語上達法も説き及ぶ.本邦初訳.
内容説明
決して大部とはいえない頁数の中にロドリゲスは見事に日本語のアウトラインを描き切った。だが本書を読み進めてゆくと、彼の語学的才能もさることながら、方法論への明確な意識、それを支える粘りづよい知性、ヨーロッパ文法学の強靭な伝統が読みとれてくる。大航海時代のヨーロッパが生みだした言語認識の成果。
目次
日本語の品詞に関する基本事項
すべての語が持ち、それぞれCoye(音)とYomi(訓)と呼ばれる二種の読みについて
品詞1 詞
品詞2 代名詞
品詞3 動詞
品詞4 分詞
品詞5 後置詞
品詞6 副詞
品詞7 感嘆詞
品詞8 接続詞〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
8
下巻は文法の活用、品詞、時制以外に、日本人の名前の付け方、役職、官職名、66の国名、僧侶の階級など、文法とは関係ない知識の記述も多い。解説で訳者は『通辞ロドリゲス』を引用して「ロドリゲスこそ日本語の文典を最初に刊行した人であり、しかもただの言語学者ではなかった。日本語があれほど流暢な西洋人はちょっと珍しいのではないか。(中略)東洋文化の粋をあれほど広く、かつ深く把握した点で、ロドリゲスの右に出るものはいないだろう」と人となりを紹介している。本書中にも言葉に対しての意識はとても繊細を持つ記述が見受けられる。2015/10/11
Joao do Couto
2
第二巻は、日本語文法の体系的な解説と文の組み立て方、さらに官職や名付けなどを文化的背景を交えて解説しています。印象的だったのは、ロドリゲスが日本語を文法的瑕疵のない言語と捉え、かつ美しいと表現していることだった。彼はほとんど教育を受けないで、若い頃日本に来たというが、この文法書からは彼の飽くなき探究心が感じる。2013/02/16
skydog
0
文法的な解説も素晴らしいが、固有名を記すための解説がまた素晴らしい。名のつけ方、姓氏についてなど、また位階や役職名についても触れており、それぞれ必要な歴史まで書いてある。 布教のための「日本語解説書」とはいえ、ポルトガル人がここまで日本語を詳細に捉えたことに感動する。 私たちも、もう少し母国語に対しての理解を深めないといけない。2016/01/06