出版社内容情報
モンテーニュ,ベーコン,ルソー…….エラスムスが「最も学識深き」と呼んだプルタルコス(46-125頃)の浩瀚な著作『モラリア』は,『英雄伝』とともに数多くの熱烈な愛読者をうんだ.その中の1篇,エジプトの理知の女神イシスと太陽神オシリスについての伝説を記した本書は,古代エジプトの宗教・風土を伝えて極めて興味深い.
内容説明
モンテーニュ、ベーコン、ルソー…。エラスムスが「最も学識深き」と呼んだプルタルコス(46‐125頃)の浩瀚な著作『モラリア』は、『英雄伝』とともに数多くの熱烈な愛読者をうんだ。その中の1篇、エジプトの理知の女神イシスと太陽神オシリスについての伝説を記した本書は、古代エジプトの宗教・風土を伝えて極めて興味深い。
目次
理知の女神イシス
清浄と穢れ
穢れとしての過剰
穢れとしての酒
穢れとしての魚
儀礼の合理的説明
神に関する教えは隠されている―謎解き
謎解きの実際例
オシリスとイシスの物語―オシリスと彼をめぐる神々の誕生
オシリスの功〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マーブル
10
エジプトの神、イシスとオシリスの伝説。よく知られたその伝説を、異邦人であるギリシア人プルタルコスが後世に、まとまった形で紹介した最古の文献。信頼できる文献として重要視されている。 一世紀から二世紀初頭のローマ帝国属領ギリシアに生きたプルタルコス。他国の神々を手を広げて受け入れたローマ帝国と同様に、鷹揚さを感じさせる。異なる文化のものを紹介する際に、自国の人々が分かりやすいよう言い換える、例えるはよくあること。日本のミステリー黎明期にかの国の作品を翻案して紹介した作家たちの苦労も思い起こさせる。 2021/03/31
misui
10
再読。太陽や月に民族それぞれの呼び名があり同じように神々も様々な呼ばれ方をしているが、大事なのはそこに働く神の原理を把握することである、というのは考え方としてわかる。しかし、「プルタルコスのまじめさと、こじつけを百も承知のうえで人に教えようとする態度と、これは彼の内部でどう折り合っていたのだろうか。」2016/04/22
misui
4
イシスとオシリスの伝説を記述した最古の文献とのこと。エジプトの神についてのものだがプルタルコスは一世紀から二世紀初頭のギリシアの人であり、エジプト神話とギリシア神話の混同が激しい。というかこじつけや間違いが多すぎてとても信用できたものではないのだけど、プラトン主義的な論理で絵解きされる神話は、当時の思潮を伝えて余りある。とりあえずは神話を知る一助に。2013/06/17
Mentyu
3
イシス・オシリスの神話についてプルタルコスが書いたもの。ヘロドトスの『歴史』もそうなのだけど、エジプトの神々を本地垂迹説ばりにギリシャの神々と同一視しながら書いているので混乱する。ただ、イシス・オシリスの神話をまとまった形で紹介した最古の文章でもあるらしいので、当時の認識について知るには良いものだと思う。2013/06/05
884
2
プルタルコスがギリシア的価値観をもって古代エジプト神話の意味の紐解き、訳注がその間違い・認識違いに悉くツッコミをいれてくという『プルタルコス先生梯子外し芸』の様相を呈した一冊。牽強付会も良いとこだけど、プルタルコスがエジプトを愛し、その素晴らしさを伝えようとしている姿勢は本物。ハグしてあげたくなります。終盤25ページ位で語られる『神の概念』『信仰対象としての神』に関する論説は、「異邦人の神もギリシア人の神も区別なく(中略)みな同じだ」の一文をはじめ大変面白い。まずはここから読んでみてもいんじゃね?2014/10/08