出版社内容情報
原題は「哲学において著名な人々の生涯およびその学説」といい,全部で八十二人の哲学者をとり上げる.ソクラテス,プラトン,アリストテレス,ピュタゴラス,エピクロスなどが登場.この種の文献のうち現存最古の貴重な史料であるとともに,ふんだんにちりばめられたエピソードが無類の読み物となっている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
45
古代ギリシアの哲学者たちの言行録というよりある種のゴシップ集とも言える本。上巻に載っている哲学者で知っていたのはソクラテス・クセノポン・プラトンだけだったが、名前も知らなかった哲学者たちの人物像がその言行から浮かび上がってくるところはおもしろい。天文学などに関する考察は現代から見ると見当外れの所もあるが、哲学者同士の論評は哲学者たちの考え方が明確になってくる。絶対的な年代を示すために第何回の古代オリンピック大会だったのを基準としているのは興味深く感じた。2022/02/16
逆丸カツハ
32
いろいろな哲学者がいる。もしも、失業してホームレスになったら道行く人に問答をふっかける哲学者になりたいと思っている。2024/08/24
ヴェルナーの日記
32
上巻は39人の古代ギリシャの哲学者を紹介。さすがにプラトンに占めるページ数が多いのは当然といったところか。しかし、全体的に数多くの哲学者を紹介するあまり、内容が広く薄い。例えばタレスは、『タレースの定理』の発見者だが、そのことは、ほんの数行の紹介で終わっている。タレースの定理は、「半円の弧に対する円周角は直角である」のことで、彼は円周上の点と円の中心を結び、2つの二等辺三角形を作ってこの定理を証明したなど、もっと掘り下げてほしかったが、そうなると百科事典級のページになるので、仕方のないことなのだろう。2015/02/01
白義
22
当時の著者から見ても数百年以上隔たった偉人ばかりというのもあるが、出てくる哲学者たちのみんな自信満々でその知識をいろんなことに駆使しているのが凄い。特にタレスをはじめとする初期の賢者たちはもはや伝説の時代なだけあって神話の雰囲気がある。洞穴の中で57年眠り外界の変貌に驚愕したエピメニデスというのは浦島太郎型物語の類型だろう。タレスたち賢者やアナクシマンドロスといった自然哲学者の時代が過ぎ、プラトンになると学説紹介が多くなるが基本的にはトンデモ人間たちの奇行名言暴言集2013/12/22
壱萬参仟縁
16
タレスの章。どんな人が幸福か。「身体が健康で、精神は機知に富み、性質の素直な人」(39頁)。時代、国が違っても普遍的。ソロンの章。「70歳が人間の生涯の限界」(53頁)。今は、百でもまだまだ、の時代か。アリスティッポスの章。「貧富は快楽とは何の関係もないのであり、その理由は、金持だからといって特に快楽を感ずるとか、貧乏人だからそうであるとかいうことはないからだ」(195頁)。プラトンはいくつかの事例(善、国制、知識、医術、法、言論、音楽、生まれのよさ、美、魂、支配、弁論、能力、人間愛、幸福など)を使う。2013/10/14