岩波文庫
哲学の慰め

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003366219
  • NDC分類 132
  • Cコード C0110

出版社内容情報

本書はボエティウス(480頃‐525頃)が,叛逆罪に問われ,パヴィアの牢獄において処刑されようとする直前に書いた名著で,ギリシアの哲学思想を経糸とし,自らの悲痛な体験を緯糸として理性によって俗情を克服し,徳と善との中に安心の境を求むべきことを力説し,全篇にプラトン的ストア的香気が漂い,古代哲学の倫理学的美しさを示す.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

amanon

7
約十年ぶりに再読。理不尽な経緯により、死刑を余儀なくされた著者が、死刑の直前に書いたというだけあって、深い諦念と、それと相反するかのような透徹した記述、それに深い詩情が絡み合った珠玉のような一冊となっていることに驚かされる。また、前回読んだ時よりも、理不尽な状況に置かれている著者の悲哀が一層身に沁みるような気がする(苦笑)。また、当時恐らく男性にのみ開かれていた哲学という学問をあえて女性に擬人化したのはどういうことなのだろう?ということがふと気になった。特に後半、未消化部分が多いので、近々、読み返したい。2022/04/27

シンドバッド

7
永年の積ん読で、いつかは、必ず読むと心していた本。感想を、題名に掛けて一言。哲学に慰めは要らないが、慰めがあるから、生きていける。2015/01/25

不以

5
究極善で始原で終極目標に善を掲げる神と、その上でつらく理不尽に思える身の上の矛盾と克服の話。理屈と話ぶりが好き。哲学の女神が「無敵の強さ与えたと思ったんだけどなー」したり運命の女神を代弁して「裸のお前に気まぐれに与えた私のものを、同じく気まぐれに動かしたことに文句言うのおかしくない?」とかやってるの楽しさがある。2018/08/01

ガテン系

3
メモ~あなたが風景を楽しんだとしてもあなた自身がそれによって引き立てられたり、あなたが豊かになる訳ではない。他人の誠実、派手な服、もしこれらのものに望ましい美が含まれてなかった場合なぜあなたは失われることを嘆いたり手元にあると喜んだりするのか。それはあなた自身とは全く関係ないはずだ。外部の善である。あなたの富の一部になる故貴重なのではなく、貴重で見えるためにあなたは進んで自分の富に加えようとする。2015/10/21

amanon

3
十年近く前に読んだのだけれど、このあいだ復刊されたのを機に買い求め再読。とにかく処刑を目前にしながら、自分が陥った不当な状態を嘆きつつも、それを神の摂理によるもの、義人が苦しむというのは、長い目で見れば、決して不当というわけではなく、むしろ義人をそういう立場に陥れている悪人がより多く罰を受けているのだという、非常に透徹した見解を述べているのには、少なからず感銘を覚える。それから、この書を読んでいて、改めて著者とトマス・アクイナス、及びアリストテレスとの関係が気になった。この辺り、今後探求の必要がありそう。2011/04/24

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